- 著者
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寺沼 浩
村井 宏隆
- 出版者
- 特定非営利活動法人日本歯科保存学会
- 雑誌
- 日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.1, pp.81-93, 2009-02-28
- 被引用文献数
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近年,コンポジットレジンの接着性の向上や患者の審美的要求の高まり,Minimal Intervention(MI)の概念などから,コンポジットレジンを用いた審美修復が多用されるようになってきている.より高度な審美修復を行うための一つとして,周囲の色がコンポジットレジンに与える影響を考慮した色調選択が重要であると思われる.審美的要求の高まりから充填に使用されるコンポジットレジンも,積層して使用するものやカメレオン効果により,より天然歯の色調に近い修復が可能になった.しかし,実際に色調を調和させるためには,さまざまな条件を踏まえたシェードの選択や形態の回復が必要であり,熟練が要求される.そこで今回,コンポジットレジンの色調に有彩色が与える影響について実験を行った.本実験には,コンポジットレジンとしてエステライトΣ(トクヤマデンタル),ビューティフィルII(松風),フィルテック_<TM>シュープリームDL(3M ESPE,USA),テトリックセラム(Ivoclar Vivadent,Liechtenstein)のA3色,背景として標準白色板と黒色板,低発泡塩化ビニル板(アクリサンデー)の白,黒,黄,赤,青,緑を使用した.直径8mm,高さ1mmの円盤状試料を作製し,各背景の上に載せ,分光測色器Spectra Scan PR650(Photo research,USA)において,色の測定を行った.算出したコンポジットレジンの色調から背景のL^*値は,黒,赤,青,緑,黄,白の順に高くなり,a^*値は,赤で最大,緑で最小,b^*値は,黄で最大,青で最小であった.標準白色板と各背景との色差ΔE^*abは,白,緑,青,黄,赤,黒の順に高くなった.各コンポジットレジンにおいて,標準白色板上で測定した色調をコントロールとして各背景上で測定した色調から色差ΔE^*abを比較すると,4種類のコンポジットレジンともに,白,黄,赤,緑,黒,青の順に高くなった.背景の色差と異なる色の背景上におけるコンポジットレジンの色差に差を認めることから,背景の明度だけでなく彩度もコンポジットレジンの色調に影響を与えること,また色差からコンポジットレジンは,特に背景の赤あるいは緑色系の影響を受けにくいことが示唆された.