- 著者
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立川 明
- 出版者
- 国際基督教大学
- 雑誌
- 国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, pp.11-22, 2005-03
戦後日本の自殺率は,1958年前後および2000年前後と,2度にわたるピークを画している.前者の主因は当時15歳から24歳であぅた若者の自殺の激増に求められ,最近のピークは55歳から64歳までの中・高年齢層の自殺め増加により説明できる.2つのピークは共に,1936年から1945年の間に生まれた同じ世代の自殺から生じている.それぞれ彼らの社会への参入時と,社会からの引退時に対応している.本論では,2つのピークに共通する原因として,戦後教育改革期(1945-1955)における民主的な教育内容と,保守的な日本社会との対立に注目する.教え子を再び戦場に送らないとの決意のもと,改革期の教師の多くは「個人の尊厳」を強調する民主教育を展開した.しかし彼らの意図とは裏腹に,そうした教育は今度は教え子を,大量にしかも生涯にわたって,アノミックな自殺へと追いやる結果となったと推論されるのである.