著者
金 泰勲
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A, 教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.31-42, 2007-03

韓国の「初等学校」における英語教育は,1981年より4年生以上の児童を対象に「特別活動」のなかで始まった.そして,1994年,韓国が世界貿易機構(WTO)に加盟したことをきっかけに,「世界化」政策の一環として,初等学校における英語教育の必修化が具体化された.その後,1995年2月に「世界化推進委員会」から大統領に提出された「初等学校における英語教育に関する報告書」に基づき,同年3月には「教育部」が「初等学校」における英語教科新設後2年間,試験実施されたのち,1997年に必修化された.一方,中国において小学校の教育課程上,外国語教育の一環として英語教育が登場するのは,文化大革命終結直後の1978年である.その後,本格的に,中等段階での英語教育の漸進的定着,21世紀にむけた資質教育の大方針の採用とこのための基礎的教育研究,IT革命の推進状況などを踏まえて,教育部は,2001年の新しい課程の実施により初等英語教育をカリキュラムに正式に入れることを設け,新しい課程の試行案を一部の地域から段階的に導入し,2004年までに全国実施することを定めた.その社会背景としては,韓国同様に2001年中国のWTO加盟,同年に,2008年の北京オリンピック開催が決まり,社会一般とくに保護者からの初等英語教育の強い実施要求が,何よりも追い風となった.

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