- 著者
-
小林 勝
- 出版者
- 日本マネジメント学会
- 雑誌
- 日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
- 巻号頁・発行日
- no.59, pp.91-94, 2009-06-26
英国産業同盟(CBI)が、英国の国際競争力確保のため高度のスキルを有する労働者を求め、キャリア・エデュケーション(教育)、ガイダンス(指導)、カウンセリング(助言)を11歳から16歳の全生徒に与えるよう提言した。この実現のため、教育と雇用をひとつの政府組織(DfEE)のもとに統合もした。わが国の総労働人口の減少と雇用市場におけるミスマッチは、日本の国際競争力を減少させている。文部科学省は、キャリア教育おいて望ましい職業観、勤労観を育む教育推進を提言している。大学・大学院は、教育機関として学生が労働市場に入る最終接続点として全ての雇用関連機関の「中心軸」として制度的に機能すべきである。このために、全ての学生のキャリア・エデュケーション、ガイダイダンス、カウンセリングへの「接触度」を高めなければならない。この接触は、教職員のかかわり行動(attending behavior)が基本である。現役大学入学者は、凡そ25歳まで2人に1人がキャリア挫折を経験している。本報告では、東洋大学第二経営学部演習履修生の学生時におけるキャリア・エデュケーション、ガイダンス、カウンセリングへの「接触度」を「成人キャリア成熟尺度(坂柳96)」使用し、調査及びヒアリングを実施した。その結果、卒業後のキャリア発達と学生時代の「接触度」の相関性が高い傾向が見られた。大学・大学院教職員による学生とのライブな「接触度」を高めるattending behaviorこそが、究極的にわが国の国際競争力を向上させることになる。