- 著者
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東海 正
- 出版者
- 日本水産工学会
- 雑誌
- 水産工学 (ISSN:09167617)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.1, pp.69-80, 2009-07-15
- 被引用文献数
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曳網のサイズ選択性は、漁具の選択性の中でもっとも基礎となるもので、袋状の網に入った魚が網目を抜けるかどうか、その現象を魚体の大きさを変数にとり、ロジスティック式などを利用して確率的に表現している。前報では、この選択性を表すロジスティック式のパラメータ推定をMS-Excelのソルバーで行えることを紹介した。このソルバーのシートは、漁具選択性のSELECT解析法で著名なMillar博士のWebサイトでも紹介されたためか、海外でも大いに利用され、いまだにメールの問い合わせや改良の提案が海外から送られてくる。また、国内でも、沿岸の資源管理や資源回復計画で小型魚の保護のための網目の拡大が組み込まれ、その調査データの解析にも利用してもらっているようである。そこで、本稿ではあらためて、ロジスティック式パラメータの最尤推定とともに、推定誤差と適合性を調べる尤度比検定について、MS-Excelのワークシートを示しながら紹介する。この適合度を説明するには、最尤推定をあらためて最初から説明したほうが分かりやすいと考えて、ここでは、前報と重複する部分があることをお許しいただきながら、稿を進めたい。