- 著者
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楊 英賢
- 出版者
- 国際ビジネス研究学会
- 雑誌
- 国際ビジネス研究 (ISSN:18835074)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.35-52, 2009-04-30
本研究の目的は、アーキテクチャのポジショニングの視点から、TFT-LCD産業の発展過程における台湾のキーコンポーネント(特にカラーフィルターとバックライト)産業を研究対象として、そのメーカーの製品ポジショニングのあり方とその移動戦略の選択を探索することによって、なぜ、台湾メーカーは、日本メーカーが依然として圧倒的な世界シェアを持っているキーコンポーネント分野に参入することができたのか、またはキャッチ・アップすることができたのかの要因を明らかにする。本研究の主な発見事実は以下である。第一に、TFT-LCD産業のキーコンポーネントは、もともとインテグラル型の製品だったが、パネル産業の発展とともに、日本の先行企業から技術提携や移転を通じて、外販による素材の市場化が形成され、その調達が容易化されてくることなどによって、部品間のインタフェースが産業内で広く標準化され、徐々にモジュール型構造になる傾向を持っている場合が多い。例えば台湾のバックライトメーカーは、製品のモジュラー化を一層進め、高度な開発や部門協調の費用を削減し、大幅に中国への投資生産を行なっている。また、同メーカーは、光学設計、金型開発、機構設計といった統合能力を持っているため、多様な顧客のカスタマイズ化の要求に迅速かつ低コストで応えている。第二に、アーキテクチャのポジショニングの移動戦略は、製品の内部構造や製品市場の組合の差異によって、四つの選択肢がある。しかし、これらの選択肢は自国や自社の得意な分野と適合するかどうかも重要であろう。このモジュラー型カスタマイズ戦略の選択は、台湾メーカーの得意なモジュール型の組立て分野と一致しているため、同キーコンポーネント分野のインテグラル型のカラーフィルターメーカーより、国際競争力をかなり発揮することができた。かつ、バックライト産業での市場シェアにおいて日本をキャッチ・アップすることができた要因だと考えられる。