- 著者
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青木 博史
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.2, pp.1-15, 2009-04
動詞の重複形には,終止形重複と連用形重複がある。本稿では,「語」レベルにとどまらず,「句」レベルを含む「構文」として,歴史的観点から分析を行う。終止形重複は,古くは通常の終止形述語同様,文終止に用いられたが,動詞としての述語性を失う形で副詞化した。連用形重複は,従属節専用の形式であるが,述語性を獲得するために「重複+スル」の形を生み出し,「複合動詞重複+スル」「重複句+スル」の形で現在も用いられている。重複構文は,古今を通じて「結果継続」を表すことはない。変化動詞の重複形においても,「重複+スル」等の形で動的な事態の繰り返しを表す。「踏み踏みする」のような「単純動詞重複+スル」が用いられなくなるのは,「踏み踏み」が「語」と認識され,「重複語+スル」の形が拒否されるようになったためと考えられる。