- 著者
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田中 康夫
- 出版者
- 低温生物工学会
- 雑誌
- 凍結及び乾燥研究会会誌 (ISSN:02888297)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.83-85, 1982-08-20
冷凍生地を製パンに使用することによって,従来両立が困難であったがために製パン業界を悩ませてきた新鮮パンの提供と労務対策という,2つの問題の同時解決が可能となる.冷凍生地とは,発酵工程を終え,分割,整形まで終わった生地を凍結したもので,ふつう-20℃に1〜3週間くらい貯蔵される.解凍後は膨張工程である焙炉(ほいろ)発酵と焙焼だけが行なわれて,パンは常に新鮮なうちに消費者に提供される.この方法は多くの利点をもっているが,解凍後の焙炉発酵が著しく遅延したり,パンの品質低下が起こりやすいという欠点のために,普及が妨げられている.これは酵母の凍結障害に起因するもので,そのためパン酵母の凍結障害の防止法や冷凍耐性酵母の検索が強く求められている.そこで冷凍生地中における酵母の凍結障害に影響を与える要因につき検討すると共に,冷凍耐性機構の解明を目的として,冷凍耐性酵母と非耐性の酵母につき2,3の特性の比較を行なった.