- 著者
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大田 伊久雄
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- no.127, pp.137-142, 1995-03
- 被引用文献数
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米国連邦有林は森林資源の保護および国民のニーズに応じた利用という精神のもとに,農務省森林局によって管理されてきた。そこからの木材販売においては地元企業を優先し伐採収入の25%を地元の郡へ供与するなど地域経済の発展に大きく貢献してきたし,また第二次世界大戦後の急激な木材需要の増大に対応した増産をするなど国家的見地からも重要な役割を果たしてきた。しかし,1960年頃からの自然保護運動の高まりとともに大面積皆伐などへの批判が強まり,いくつもの法整備を経て連邦有林の森林管理規定は修正変更を繰り返してきている。本論文は,こうした認識を踏まえて米国連邦有林における木材生産活動の制度的変遷をたどるとともに,現行の木材販売の基礎である立木評価システムの分析を通してその問題点と妥当性について考察を行ったものである。また,1980年代に全米各地で大きな問題となったBelow-cost timber salesについてもその発生要因および議論の焦点を示し,森林局が連邦有林管理上の一つの大きな目的である木材生産にどのような姿勢で取り組んでいるかを分析した。