- 著者
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渥美 清
- 出版者
- 杏林医学会
- 雑誌
- 杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.2, pp.245-261, 1987
成熟ddyマウスにクロラムフェニコール1日50mgを経口的に1回および連続投与し,肝臓病変を経時的に観察した。肝病変は連続投与群の方に著しく,ミトコンドリアのクリステ融解とミトコンドリア融解が認められた。また,肝細胞核やミトコンドリア周囲に粗面小胞体の層板状増殖,滑面小胞体の網目状の著しい増加および粗面小胞体と滑面小胞体との相互連続が認められた。さらに連続投与群には8日以後,不正形の巨大ミトコンドリアの他に,小型で濃染性基質の再生ミトニ・ンドリアもみられた。一方,肝臓のP/O比,呼吸調節率およびコハク酸脱水素酵素活性は低値を示し,これらのミトコンドリアはエネルギー産生をほとんど行っていないと考えられた。また滑面小胞体およびペルオキシゾームの増加は,クロラムフェニコール解毒の形態学的指標と思われる。したがって,クロラフェニコール連続投与により,マウス肝は著しい機能低下を来たすことが示唆される。