著者
西川 亮
出版者
日本西洋古典学会
雑誌
西洋古典学研究 (ISSN:04479114)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.28-38, 1969

トラシュロスがデモクリトスの作品を四部作に分類して配列した目録の中に,認識論的傾向のものを扱ったとおもわれる若干の作品名が残されているが,その内容に至ってはほとんど知られない.もしそれについて考察を試みようとすれば,セクストス・エンペイリコスやガレノスによって引用された断片や,アリストテレスやアエティオスなどの記録,さらに諸感覚についてのテオプラストスのかなり詳細な記述などによらなければならない.しかし皮相的にみれば,これらの資料間における齟齬が,統一的見解を阻んでいるかのように見做される.むろんデモクリトスのいわゆる認識論についての資料の処理にすでにかなりの努力が払われてきた.ここでは,それらの諸資料を三区分し,その間の差異を検討して,デモクリトスのいわゆる原子思想における認識論的問題の一端にふれてみたい.

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