著者
一柳 智紀
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.361-372, 2009
被引用文献数
1

本研究の目的は, 児童による話し合いを中心とした授業における児童の聴き方の特徴が, 学級や教科の課題構造の違いによりどう異なるか明らかにすることである。小学5年生2学級において, 担任教師による児童の聴く力の評価と, 社会科と国語科の授業を対象に直後再生課題を行い, 児童による再生記述について, 学級(2)×評価群(高・中・低)×教科(社会・国語)の3要因分散分析を行った。結果, 1)授業中の発言の有無にかかわらず, 「よく聴くことができる」と教師から認識されている児童は, 能動的に発言内容と発言者に注目し, つながりを意識しながら, 自分の言葉で発言を捉えていること, 2)学習課題の違う教科により, 発言のソースモニタリングや話し合いの流れを捉えるといった児童の聴き方の特徴が異なること, 3)学級により, 2)の教科による聴くという行為の特徴は異なることが示された。これにより, 学級や課題構造に伴う話し合いの展開の違いが, 児童の聴くという行為に影響を与えていることが示唆され, 今後より両者の関連を考察することが課題として示された。

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