- 著者
-
庄司 隆行
- 出版者
- 日本味と匂学会
- 雑誌
- 日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.2, pp.163-169, 2009-08
魚たちは、我々が体験することはもちろん想像することも難しい"味物質を鼻で嗅ぐ"という感覚機能を持っている。すなわち、魚類の嗅覚系は水中に溶けた味物質、なかでもアミノ酸を高感度で受容することができる。言うまでもなくアミノ酸類は味覚系でも受容されるから、アミノ酸は魚類にとって味でもあり匂いでもあることになる。しかし、味覚と嗅覚とでは受容器はもちろん中枢への投射経路も全く異なるから、その機能も別々のものであると考えられる。本稿では、嗅覚系のアミノ酸受容が魚たちにとってどのような役割を持つのかを具体例をあげて解説する。