- 著者
-
中丸 茂
- 出版者
- 駒澤大学
- 雑誌
- 駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.1-9, 2001
本研究では,「好き」,「嫌い」,「本当」,「うそ」という4種類の単語を用いて,同一単語の繰り返し回数が感情度(好き-嫌い),評価度(良い-悪い),信頼度(信頼できる-信頼できない)に及ぼす影響を検討した。被調査者は,K大学,および,M大学で心理学(一般教養)の講義を受講している学生557名(男性253名,女性304名),平均年齢19.3歳(18〜53歳)であった。調査方法は,「好き」,「嫌い」,「本当」,「うそ」という4種類の単語を用いて,単語の繰り返しの回数,1回(「好き」),2回(「好き好き」),3回(「好き好き好き」)の3条件を用いた。測定には,感情度(好き-嫌い),評価度(良い-悪い),信頼度(信頼できる-信頼できない)の各項目について,7段階評定尺度法を用いた。結果,単語の繰り返し回数が多くなると感情度,評価度,信頼度ともに評定得点が低下することが確認された。また,単語の種類による違いは,単語の繰り返しが1回と2回ではポジティブな意味の単語(好き,本当)よりも,ネガティブな意味の単語(嫌い,うそ)のほうが信頼度が低いが,単語の繰り返しが3回の時には,単語が繰り返されることによる影響が単語そのものの意味の機能を打ち消すことが確認された。また単語の繰り返し回数間の差の構成比では,ポジティブな意味の単語よりも,ネガティブな意味の単語のほうが,単語の繰り返し数が多くなると評定得点が高くなる人が多いということが確認された。