著者
中丸 茂
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.52-63, 2001-12-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
31

本論文では, 随伴性の心理学の観点より, 文化心理学のパラダイムを理論的に分析し, 文化と文化的行動についての心理学的研究を発展させるための理論的知見, および, 新たなる研究テーマを提出することを目的とする。随伴性の心理学の観点による文化心理学的研究への提言として, (1) 心理学的法則 (人間の行動) を形成・維持・変容させる条件づけの手続きは, 文化間で共通である, (2) 文化による心理学的法則の違いが生じるのは, そこで使用される刺激や条件づけられる行動が文化によって違うからである, (3) 心理学の目的は, 心理学的法則の発見のみならず, 法則を形成・維持している手続きを発見することもその目的であり, その観点より, 文化によって, よく使用される手続きの発見も重要である, (4) 手続きに対する解釈の違いは, 文化によって異なっており, そのことから, 手続きの有効性も異なってくることが予測される, (5) 文化を理想化すれば, 文化を実験室で再現でき, 実験室レベルでの文化心理学的研究が可能である, という点があげられる。
著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-9, 2001

本研究では,「好き」,「嫌い」,「本当」,「うそ」という4種類の単語を用いて,同一単語の繰り返し回数が感情度(好き-嫌い),評価度(良い-悪い),信頼度(信頼できる-信頼できない)に及ぼす影響を検討した。被調査者は,K大学,および,M大学で心理学(一般教養)の講義を受講している学生557名(男性253名,女性304名),平均年齢19.3歳(18〜53歳)であった。調査方法は,「好き」,「嫌い」,「本当」,「うそ」という4種類の単語を用いて,単語の繰り返しの回数,1回(「好き」),2回(「好き好き」),3回(「好き好き好き」)の3条件を用いた。測定には,感情度(好き-嫌い),評価度(良い-悪い),信頼度(信頼できる-信頼できない)の各項目について,7段階評定尺度法を用いた。結果,単語の繰り返し回数が多くなると感情度,評価度,信頼度ともに評定得点が低下することが確認された。また,単語の種類による違いは,単語の繰り返しが1回と2回ではポジティブな意味の単語(好き,本当)よりも,ネガティブな意味の単語(嫌い,うそ)のほうが信頼度が低いが,単語の繰り返しが3回の時には,単語が繰り返されることによる影響が単語そのものの意味の機能を打ち消すことが確認された。また単語の繰り返し回数間の差の構成比では,ポジティブな意味の単語よりも,ネガティブな意味の単語のほうが,単語の繰り返し数が多くなると評定得点が高くなる人が多いということが確認された。

3 0 0 0 OA 態度と随伴性

著者
中丸 茂
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.105-117, 1998-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
45

本論文は, 態度研究を随伴性の観点より分析することを目的とする。社会心理学において, 態度は, 内的な, 説明変数であり, 質問紙法や尺度法によって, 言語行動として測定されている。行動分析学では, 態度は随伴性の観点から研究され, タクト, マンド, インタラバーバル, エコーイック, オートクリティックとして取り扱われる。そして, 言語行動としての態度は, 随伴性形成行動の目的行動として, ルール支配行動のルールとして, ルール支配迷信行動の偽ルールとして取り扱われる。また, 態度は, 感情的側面をもち, 条件性刺激として, 感情を制御する。同じ表現型をとる言語データでも, 違う成立過程で形成されていることが考えられる。随伴性の観点から態度研究を 条件づけの手続きに還元することによって, 態度についての知見をより単純に捉え直すことが可能となるだろう。
著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.53-69, 2001-03

本論文では、随伴性の心理学の観点により、モラル・ハラスメントを分析し、精神的な暴力や精神的な嫌がらせの過程で使用される方法の一般法則を推論することを目的とした。モラル・ハラスメントとは、精神的な暴力・精神的な嫌がらせであり、支配の段階と暴力の段階の2つの段階があり、加害者の特徴として、自己愛的な性格があげられ、支配の段階と暴力の段階という2つの段階を踏む(Hirigoyen,M-F.1998)。支配の段階と暴力の段階では、加害者が被害者に「負の感情」を生じさせ、また、周囲のひとの被害者に対する感情を「正の感情」から「負の感情」に変換する方法がとられる。モラル・ハラスメントで使用される方法を形式化すると、手続き-手続き間の変換、性格-性格間の変換、手続き-性格間の変換、手続き-感情間の変換、対処不可能な状態を生じさせる不安定な手続き、被害者の行う加害者や周囲の人に対する手続き機能お取り消しといったことが行われ、その際に使用される被害者につての悪口や悪評の作成過程では、否定文の法則、一部強調の法則、動詞の切り取り、抽象化の法則といった法則が予測される。モラル・ハラスメントに対する対処としては、行われていることがモラル・ハラスメントであることを認識するために、「愛情」なのか、「支配・暴力」なのかといったような手続きを行う目的の違い、ボトムアップ型の悪口なのか、トップダウン型の悪口なのか、人物批判、行動批判、感情批判、思考批判などを区別し、形式化されたモラル・ハラスメントの方法を使って、他の解釈を加害者にフィードバックする必要がある。
著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-25, 2003

研究は,言語メッセージ,および,それに付加した非言語メッセージ(?,!)"の有無"繰り返しが,メッセージの感情度,評価度,信頼度に及ぼす影響を検討する。被調査者は,K大学,およびM大学で心理学(一般教養)を受講している学生,200名(男性115名,女性85名),平均年齢18.9歳(18〜26歳)であった。調査項目は,インターネット・メール・携帯電話関係の質問を3項目として,そして,言語メッセージと非言語メッセージの組み合わせからなりそう(「うそ」「うそ?」「うそ???」など)の感情度,評価度,信頼度について7段階評定尺度法によって選定した。単語の単純な繰り返しでは,単純に感情度,評価度,信頼度ともに低下するという結果が得られているが,結果,の論文の図形刺激の同様,「なし」,「?」,「???」,もしくは,「なし」,「!」,「!!!」,の順で感情度,評価度,信頼度ともに逆U字型の関係が見られた。今後の課題として繰り返し回数の影響の詳細な検討と独立変数が「情報量」なのか,「繰り返し回数」なのかについて検討する必要があるだろう。
著者
谷口 泰富 中丸 茂 東海林 義信 迎 隆
出版者
駒澤大学文学部社会学科研究室
雑誌
駒澤社会学研究 = Komazawa journal of sociology (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
no.21, pp.p23-34, 1989-03
被引用文献数
1

本研究は,視覚Vigilance課題におけるPerformanceの変動と生理学的指標との関係について検討した。被験者は,本学心理学専攻の学部生14名であった。結果,正反応数とSPLの間に負の相関が認められ,時間経過に伴いα波の増加が観察された。一方,心拍数,呼吸数の減少傾向が認められた。全体的には,Performanceの低下が覚醒水準の低下と平行関係にあると思われる資料が提供されたものの,詳細に検討するとPerformanceの変動様式と各指標の変動様式は必ずしも一義的に対応しているとはいいきれない側面がある。したがって,指標によって反映される要因が異なっているのではないかと思われる。さらに,個人差,生体リズムおよび指標の感受性の問題も指摘された。

1 0 0 0 IR 態度と随伴性

著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学文学部社会学科研究室
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
no.29, pp.103-119, 1997-03

本論文は、態度について随伴性の観点より考察することにより、社会心理学と行動分析学が一つのパラダイムを共有することの有効性を提唱するものである。態度は、社会心理学において、潜在的な説明変量として取り扱われるが、その測定には質問紙法や評定尺度法が用いられることが多く、ゆえに、測定されたデータは言語行動である。社会心理学では、そこで得られた言語行動が態度を表すものとし、行動の理解・説明・予測に使用される。測定データである言語行動を態度(言語行動としての態度=態度行動)として取り扱うことにより、態度を他の言語行動と同様に、タクト、マンド、イントラバーバル、エコーイック、オートクリティックに分類可能であり、これらの観点からの新たなる研究テーマが導かれるであろう。また、態度行動は、随伴性形成行動の目的行動として、そして、ルール支配行動のルールとして取り扱うことが出来る。随伴性の観点から態度を研究することにより、社会心理学の知見を行動分析学においても共有することが可能になり、さらに、心理学における態度の研究テーマを拡げていくことが可能性となる。
著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.91-114, 2002-03

本研究は,顔文字が文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を評定尺度法を用いて考察することを目的とした.調査Iでは,顔文字の有無や顔文字の種類の違いが,文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を検討し,文章と顔文字の意味が一致している場合には信頼度・感情度・評価度とも高くなり,不一致の場合には信頼度・感情度・評価度とも低くなるが,顔文字の有無で変化のみられない場合(意味の融合)もあることが確認された.調査IIでは,顔文字の位置の違いが文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を検討したが有意差はみられなかった.以上のことから,文章と顔文字の意味が不一致の場合には誤解を生じさせる可能性が高くなることが考えられ,不一致の組み合わせを用いる場合には,相手との関係を考慮して使用していく必要があるだろう.また,調査間において,いくつかの項目といくつかの項目間の差で有意差が認められたが,これは,メール使用者の増加にともなって短文や顔文字を使う機会が増加したためと考えられる.