著者
名取 志保 谷口 泰富
出版者
駒澤大学文学部心理学研究室
雑誌
駒澤大学心理学論集 : KARP (ISSN:13493728)
巻号頁・発行日
no.5, pp.27-32, 2003-03

現在,犯罪捜査に活用されている虚偽検出検査において,虚偽の反応には,定位反応だけではなく被検査者の認知過程(認知要因)が大きく関与するという報告がみられるようになった。これらの研究を概観すると,一方では質問や返答の様式を変化させる方法と,他方では認知過程と関連があると考えられている生理指標を測定する方法により,虚偽検出における認知過程が検討されている。本研究では,認知的状態と関連していると考えられる自発性瞬目を指標とした虚偽検出実験をおこない,裁決刺激提示時(ウソをついたとき)は瞬目数が減少し,瞬目潜時が遅れるという結果が得られた。また,近年,新たに指標として検討され始めた応答反応に関しても,先行研究と同様に,裁決刺激提示時に潜時が早くなる傾向が認められた。これらのことから,瞬目反応および応答反応を虚偽検出検査の指標として採用することの可能性が示唆された。

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