著者
高橋 智 中村 美樹
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.60-65, 2010-02

日本の学校に在籍する障害を有する外国人児童生徒本人とその保護者及び学級担任に調査を行い(東京都内の小・中学校の特別支援学級・通級指導学級及び特別支援学校高等部に在籍する外国人児童生徒本人4名,その保護者5名及び学級担任7名.調査期間:2006年11月〜2007年1月),障害を有する外国人児童生徒の困難・ニーズと彼らに対する支援の実態を明らかにした.とくに母親の抱える情報不足・地域参加の困難に起因する社会的孤独感が子どもに不安を伝え,学校との関わりに閉鎖的傾向をもたらすことが明らかとなった.本人・保護者が閉塞的な学校・地域との関係から脱却し,双方向的な関わりが可能となるような支援を構築していくことが急務である.また,本人は文化的背景の肯定的受容,アイデンティティの形成や帰属意識の希薄さ等の困難を有しており,さらに不安定な生活展望が長期的な支援を困難にしていた.このような困難・ニーズの実態を踏まえ,単純な受け入れ論ではなく,多文化社会が抱える複合的な諸課題に対処して具体的支援を構築していく必要がある.

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[論文][外国人児童生徒]

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