著者
森岡 隆 手島 和典 吉嶺 絵利 中谷 正 高橋 佑太 倉持 宗起 橋本 貴朗 林 信賢 中村 裕美子 中溝 朋美 高橋 智紀 若松 志保 楠山 美智子 成田 真理子 油田 望花 川口 仁美 安生 成美
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

源兼行ら11世紀半ばの3人の能書が分担揮毫した『古今和歌集』現存最古の写本である「高野切本古今集」について、巻五・巻八・巻二十の完本3巻を除く17巻を復元した。このうち巻一・巻二・巻三・巻九・巻十八・巻十九の6巻は零本・断簡が伝存するものの、他の11巻は伝存皆無だが、各々の書風で長巻に仕上げて展示公開するとともに、それらを図版収載した研究成果報告書を刊行した。なお巻五についても、後に切除された重複歌2首の各々の当初の位置を特定し、復元し得た。
著者
高橋 智 平田 勝政 茂木 俊彦
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.33-46, 1990-03-10 (Released:2017-07-28)

近年、国内外で障害の概念構造についての理論的研究が深化しつつあるが、個々の障害に即した概念整理は不十分であり、「精神薄弱」概念についてはそれが特に著しい。そこで本研究ではその一環として、戦前の精神医学分野の「精神薄弱」概念の形成・展開過程及び到達点の歴史的解明を行った。検討素材に、主要な精神医学雑誌である『精神神経学雑誌』と『精神衛生』を用いた。得られた結果は次の様である。(1)「精神薄弱」を病理・臨床の面からは疾病・欠陥と規定し、精神衛生では断種等の社会問題対策的視点から規定しており、精神医学でも「精神薄弱」概念の定義に大きな相違がみられる。(2)クレペリンの「白痴・痴愚・魯鈍」の3分類を基本としつつも、「精神薄弱」概念論争にみられる様に、知能指数等の心理学的概念の採用が現実的要請から承認された。(3)戦前の「精神薄弱」概念の到達点と「特殊児童判別基準」等の戦後の概念には連続性が確認された。
著者
照井 克俊 藤田 友嗣 高橋 智弘 井上 義博 遠藤 重厚
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.857-863, 2013-10-15 (Released:2013-12-30)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

トリカブトは毒性の強いアコニチン類を含有する有毒植物である。本研究では,1984年1月から2011年12月の間に当センターに搬送されたトリカブト中毒患者30症例について,中毒の原因,中毒が発生した時期,摂取した植物部位,中毒症状,治療,転帰を調査した。対象は男性22例,女性8例で,年齢は5歳-78歳(平均48.3歳)であった。トリカブト中毒の原因は,自殺目的での摂取15例,食用植物との誤食14例,民間療法としての使用1例であった。自殺目的によるトリカブト中毒は1年を通じて発生し,誤食による中毒は4-6月の山菜採取の時期に集中していた。自殺目的では根を,誤食では葉を摂取する傾向にあった。中毒症状は,不整脈(26),嘔気・嘔吐(24),口唇・口角の痺れ(23),四肢の痺れ(23),動悸(19),血圧低下(18),胸痛・胸部不快感(17),意識障害(13),脱力感(11),めまい(9),麻痺(5),腹痛(4)が生じた。不整脈では心室性期外収縮が最も観察され(26例中17例,65.4%),心室細動(VF)は26例中7例(26.9%)に観察された。不整脈の治療として抗不整脈薬のリドカインが主に投与され,軽症例には効果的であったがVFを生じた重症例には効果がなかった。難治性のVF患者には,経皮的心肺補助法(PCPS)による治療が効果的であった。転帰は30症例中3例が難治性のVFにより死亡した。トリカブト中毒では多彩な症状が出現したが,重篤な不整脈の出現の有無が転帰を左右した。トリカブト中毒で生じる不整脈の治療では,VFを生じるような重症例には抗不整脈薬や除細動の効果は限定的である。重症例では早期にPCPSの積極的な導入を行い,血行動態の安定化を図ることが救命にとって重要である。本結果は今後のトリカブト中毒の治療に有用な情報になるものと考える。
著者
今井 浩三 中村 卓郎 井上 純一郎 高田 昌彦 山田 泰広 高橋 智 伊川 正人 﨑村 建司 荒木 喜美 八尾 良司 真下 知士 小林 和人 豊國 伸哉 鰐渕 英機 今井田 克己 二口 充 上野 正樹 宮崎 龍彦 神田 浩明 尾藤 晴彦 宮川 剛 高雄 啓三 池田 和隆 虫明 元 清宮 啓之 長田 裕之 旦 慎吾 井本 正哉 川田 学 田原 栄俊 吉田 稔 松浦 正明 牛嶋 大 吉田 進昭
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)『学術研究支援基盤形成』
巻号頁・発行日
2016

①総括支援活動 : 前年度立ち上げたホームページ(HP)に改良を加えて公募の円滑化を進めた。モデル動物作製解析の講習や若手研究者の交流促進を推進する技術講習会を開催した。成果ワークショップを開催し本活動の支援成果をアピールした。②モデル動物作製支援活動 : 相同組換えやゲノム編集など支援課題に応じた最適な胚操作技術を用いて、様々な遺伝子改変マウスおよびラットを的確かつ迅速に作製し、学術性の高い個体レベルの研究推進に資する研究リソースとして提供した。件数は昨年度より大幅に増加した。③病理形態解析支援活動 : 昨年より多い35件の病理形態解析支援を7名の班員で実施した。研究の方向性を決定づける多くの成果が得られた。論文の図の作成にもかかわり、論文が受理されるまで支援を行った。その結果、より高いレベルの科学誌にも受理された。④生理機能解析支援活動 : 疾患モデルマウスの行動解析支援を実施するとともに、諸動物モデルでの規制薬物感受性解析、光遺伝学的in vivo細胞操作、意志決定に関与する脳深部機能解析、等の支援を展開した。⑤分子プロファイリング支援活動 : 依頼化合物の分子プロファイリング316件、阻害剤キット配付86枚、RNA干渉キット配付・siRNAデザイン合成83件、バーコードshRNAライブラリーによる化合物の標的経路探索15件、を実施し、より多くの研究者の利便性を図った。
著者
鈴木 幸一 御領 政信 品田 哲郎 寺山 靖夫 吉岡 芳親 高橋 智
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

カイコ冬虫夏草ハナサナギタケの熱水抽出物から同定した新規の生物活性分子は、マウス海馬に発生したアストログリオーシス(神経膠症)修復の最有力候補であり、その分子メカニズムを解明することでヒトへの応用開発を進めた。その結果、培養アストロサイトに新規生物活性因子を添加することで、神経成長因子と神経成長因子誘導体の遺伝子が発現し、さらに神経初代細胞への効果として神経突起形成を誘導した。このin vitroの分子機構に基づいて、老化促進マウスの脳機能は向上し、ヒトのアルツハイマー型認知症患者の前臨床試験でも改善効果が確認され、新しい機能性食品と医薬品候補を提案した。
著者
藤原 和弘 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学]
巻号頁・発行日
vol.2014, no.16, pp.1-6, 2014-08-18

楽曲から抽出した遷移確率を用いて旋律部分と伴奏部分を自動作曲する方法を提案する.遷移確率とは,音高,音長について,ある音高 (音長) のつぎに,どのような音高 (音長) が続くかの確率である.本稿では,実際の楽曲 (アーティスト:バンプオブチキン,ラルクアンシエル) から遷移確率を抽出した.アンケート調査の結果,音楽的に悪くなく,アーティストらしい曲が作曲できている事が確認できた.
著者
高橋 智子 齋藤 あゆみ 川野 亜紀 朝賀 一美 和田 佳子 大越 ひろ
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.347-354, 2002-04-15
被引用文献数
9

The necessity of tenderizing meat for the elderly and complete denture wearers was apparent after evaluating the influence of the hardness of the meat samples on the ease of feeding persons with different chewing capability. Meat samples were tenderized by soaking in a sodium hydrogen carbonate solution and then heat treated by vacuum cooking. The hardness of the meat samples decreased with increasing concentration of sodium hydrogen carbonate in the soaking solution. A sensory test showed that the ease of feeding of persons increased with decreasing hardness of the meat samples, while hydration of the meat protein was increased. The apparent hardness of the meat samples increased with decreasing compression speed, so that the chewing rhythm of complete denture wearers and of the elderly was slower than that of dentate subjects. The results indicate that meat was not sufficiently masticatable as a food for the elderly and the complete denture wearer as compared with the dentate subjects since the compression speed depended on the apparent hardness of the meat samples in this study. The overall results reveal that tenderizing meat by sodium hydrogen carbonate soaking made it easier to feed the elderly and the complete denture wearers.
著者
上田 正人 高橋 智幸 鶴田 浩章 徳重 英信
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

骨とサンゴにおける骨格形成メカニズムは,ほぼ同じである。既に確立されている骨形成・再生手法をサンゴに転用し,新規なサンゴ骨格形成促進手法を確立することを目的とする。具体的には,チタン製のスキャフォールド(足場)に骨形成の促進効果が認められている酸化チタンなどを成膜し,サンゴと連結する。水槽中,海底でサンゴを飼育し,スキャフォールド表面におけるサンゴ骨格形成を観察する。ここにおいても,医療材料開発で利用されているテクニックを駆使する。高効率なサンゴ骨格形成手法を探索すると共に,骨関連分野へも新たな切り口を提案し,協奏的に研究を発展させる。
著者
高橋 智子 川野 亜紀 中川 令恵 大越 ひろ
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.314-322, 2007-10-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13
被引用文献数
2

本研究では,高齢者に好まれるごぼうを材料とした,食べやすいレトルト食品開発の基礎的研究を,力学的特性,咀嚼運動,官能評価より検討した。その結果,加圧・加熱時間が長く,表面積を大きく成形したごぼうであるほど軟かく調理できることが判った。また, ごぼう繊維に対して, 斜め方向から咀嚼できるよう成形したごぼ,咀嚼速度が速く食べやすいことが示された。以上の結果より,ごぼうは,加圧・加熱時間,加熱時の表面積,および咀嚼時における臼歯の貫入方向を考慮することで,食べやすいごぼう調理が可能になると推測される。