機関リポジトリ(IR)とオープンアクセス(OA)雑誌はBudapest Open Access Initiative(BOAI)を背景に普及してきた。本稿では両者の現状をBOAIの理念と持続可能性の観点から検討する。現在のIRとOA雑誌は, BOAIが挙げる3つの障壁のうち法の壁や技術の壁への対応に問題がある。持続可能性については継続的なコンテンツ収集のために,IRでは研究活動の中に埋め込まれること,OA雑誌では質を維持しながら多くの論文を掲載することが重要となる。また,BOAIは「研究の加速」などをOAの実現の目的としているが,IRとOA雑誌にはこれを損なう危険性もある。