著者
上田 和夫
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.316-323, 2010-05-05
参考文献数
51

抵抗極小の現象に対する近藤効果による説明は多体効果の研究の本格的な幕開けを告げるものであった.不純物スピンに関する近藤効果の本質が明らかになるとともに,多体相関の研究は局所的問題から格子系へと展開し,重い電子系からさらには銅酸化物超伝導体を含め強相関電子系の磁性と超伝導というジャンルを形成した.一方,ナノサイエンスの舞台である二次元電子系の量子ドットにおける輸送現象にも近藤効果が本質的役割を果たすことが明らかになり,非平衡状態における多体相関が関心を集めている.近藤効果に淵源を持つこれら二大潮流の研究の現状と今後の動向について私見を述べる.

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近藤効果の系譜 : 重い電子系と量子ドット/上田和夫

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