著者
石原 眞理
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.17-33, 2010
被引用文献数
1

本研究の目的は,横浜アメリカ文化センター(以下ACC)の旧所蔵資料を調査することにより,その特徴を明らかにすることである。調査結果を基に,それらの資料がACCの設置者たちの目的や運営方針を反映するものであったのか,という観点から考察する。これまでACCや前身であるCIE図書館の所蔵資料に関する研究はほとんど行われていない。現在ACCの所蔵資料がまとまって残っている例は少ないが,神奈川県立図書館のACC文庫は,横浜ACCの所蔵資料を,当時の蔵書構成の特徴を残しながら継承している。ACC文庫に対する調査は,(1)個々の資料の書誌事項及び現物の確認,(2)DDC10区分の構成比とOCLCの分類別構成比との比較,(3)ACC文庫の関係者に対するインタビュー調査,の各種の方法に拠った。調査の結果,CIE横浜図書館時代の資料は「公共図書館のモデル」及び「日本の民主化・非軍事化」,横浜ACC時代の資料は「アメリカの広報・宣伝」を実現するような内容であったことが推定できた。

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