- 著者
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澤 隆史
- 出版者
- 一般社団法人 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.4, pp.255-264, 2009
- 被引用文献数
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本研究では、過去10年ほどの国内外の研究を中心として、聴覚障害児における言語の理解と産出について言語学的観点から考察するとともに、今後の言語獲得研究の方向性について展望した。先行研究を「統語」「意味」「使用」の観点から整理し、各観点について、生成文法理論による統語能力の解明、統語処理における意味情報の利用、発話・作文における語の使用に関する研究の成果と残された課題について述べた。従来の言語獲得研究は、生成文法理論などに基づく統語能力の解明を軸として進展してきた。一方、近年では認知言語学や用法基盤モデルといった新たな理論が発展しつつあり、聴覚障害児の言語研究においてもことばの意味や使用の側面を重視した研究が必要であることを考察した。