著者
橋本 英樹
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.113-119, 2010-06-17

社会格差による健康影響について,近年内外の関心が高まっている。本稿では,社会経済的健康決定要因を探る社会疫学という領域について,その概念や歴史的背景について紹介する。また具体例として所得格差と健康の関係を取り扱った内外の研究を紹介しつつ,従来の疫学的研究手法が直面している課題について明らかにする。社会経済的健康決定要因は,学術的関心に留まらず,近年ヨーロッパを中心に政策的取り組みについても急速な運動が展開されている。世界保健機構に設けられた社会的健康決定要因に関する委員会の活動などを紹介する。健康の社会的不平等に取り組むには,縦割り行政の壁を越えた包括的政策と,科学的評価が両輪であることに言及する。

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