- 著者
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島薗 進
- 出版者
- 日本宗教学会
- 雑誌
- 宗教研究 (ISSN:03873293)
- 巻号頁・発行日
- vol.84, no.2, pp.331-358, 2010-09-30
現代世界では世俗主義に抗して宗教的な世界観の回復を望む潮流がある。(1)伝統宗教の復興、(2)スピリチュアリティの興隆、(3)制度領域での宗教性の台頭、という三つの側面から考えることができるが、この論文では主として(2)の現象に注目し、歴史的な展望の下に見直し、興隆の要因について問う。「宗教からスピリチュアリティへ」と捉えられることが多い現象だが、「救済宗教からスピリチュアリティへ」と理解するのが適当ではないかと論じる。伝統宗教の外で展開する「新しいスピリチュアリティ」と伝統宗教の中のスピリチュアリティの強調との間に連続性があるとも論じる。また、宗教と新しいスピリチュアリティの関係を的確に捉えるために、両者の仮説的定義を試みる。そして、宗教とスピリチュアリティが緊張関係にある側面を含むのは確かであるとしても、両者が相補的と見なした方がよい面もあると示唆している。このような視点は救済宗教が他のタイプの宗教と共存してきた東アジア宗教史に親しんできた者にふさわしいものであるとも論じる。