著者
弓山 達也
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.553-577, 2010-09-30

本稿では、一九九〇年代後半から文部行政によって喧伝された「目に見えないものを大事にする」教育を官製スピリチュアル教育と措定し、それと取り組む教育現場の代表的な議論・実践を紹介しつつ、官製スピリチュアル教育の限界を明らかにする。教育現場では、官製スピリチュアリティの見えづらさをどう可視化するかが課題となるが、これを「こころの教育」「いのちの教育」のモデル校である京都府下の公立小中学校の試みから探り、これを官製スピリチュアル教育に対置する地域に根ざしたスピリチュアル教育と呼ぶ。しかし地域に根ざしたスピリチュアル教育にも限界があり、これを地域コミュニティ、宗教的資源、学校教育、スピリチュアル研究との関わりと結びつけ、その可能性を整理していく。

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