著者
石井 英真
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.47-58, 2003

本稿は「改訂版タキソノミー」(以下「改訂版」と略す)に関する論稿である。「改訂版」は,かつてブルーム(B. S. Bloom)らによって開発された「教育目標の分類学」(以下ブルーム・タキソノミーないしは初版)の認知領域を改訂したものである。本稿では,初版との比較を通して「改訂版」の意義を探った。まず,本改訂における変更点について考察した。そして,特に注目すべき構造上の変化として,知識と認知過程の二次元構成を取り上げ,その中身について論じた。次に,初版の意義と限界を明らかにするために,初版における目標構造化の論理(タキソノミーの構造に内在している授業改善の方向性)を抽出し,その背後にある学習観についても検討した。最後に,「改訂版」の学習観と目標構造化の論理について分析を加えた。以上より,次のようなことが明らかになった。初版と「改訂版」との間には,学習観における重大な差違があり,「改訂版」の学習観(構成主義,領域固有性)は,初版の学習観を転換させるものである。そして,この学習観の転換がカテゴリー構成のレベルで具体化された結果,「改訂版」は初版にはない二つの視点(知識習得の質を問い直す回路,高次の認知目標を支える知識を問う回路)を生み出している。こうして,初版から「改訂版」への改訂は,目標構造化の論理を再構築する過程として捉えることができるのである。

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「改訂版タキソノミー」によるブルーム・タキソノミーの再構築 : 知識と認知過程の二次元構成の検討を中心に https://t.co/Gw2JAdOMM4

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