- 著者
-
多田 満
- 出版者
- 環境芸術学会
- 雑誌
- 環境芸術 : 環境芸術学会論文集 (ISSN:21854483)
- 巻号頁・発行日
- no.9, pp.93-96, 2010-03-31
科学(生態学)からみた環境(生態系)は、その構造と機能により、人とは生態系サービスにみられる物質的なつながりだけでなく、文化や芸術を生み出す精神的なつながりをもっている(環境-科学)。また、ルネッサンス期以降、とりわけ絵画においては、自然観察や解剖学の知識を作品に表現したレオナルド・ダ・ビンチ(「科学の表現」)や量子物理学や分子生物学の知識を作品に融合したサルバドール・ダリ(「科学の融合」)にみられるように、科学(その技術)は芸術と結びついてきた(科学-芸術)。人(主体)が、ある時・空間との「つながり」を意識したとき、その時・空間は環境として認識される(「環境認識」)。ジェームズ・タレルは、科学と芸術を結びつけた作品(科学-芸術)において、人に変化する時・空間とのつながりを意識させることで、「環境認識」から環境と作品を結びつけている(環境-科学-芸術)。