著者
植田 章
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-32, 2010-03-01
被引用文献数
3

障害のあるなしにかかわらず,老化には個人差がある。ダウン症者においては壮年期にさしかかった頃にアルツハイマー症状を呈したり,身体的機能の低下をもたらすなどの「早期老化」傾向が確認されているが,知的障害のある人たちの「老い」が一律的に早いということではない。しかし,彼らが被ってきた社会的な不利益が壮年期・高齢期の暮らしを大きく規定していることは確かであり,このことは,知的障害のある人たちの加齢研究の重要な視点と言える。 本小論では,筆者が実施した「知的障害のある人(壮年期・高齢期)の健康と生活に関する調査」の結果をふまえ,健康保持と日常的な生活アセスメントの重要性や環境要因についての検討の必要性,高齢化する家族に対応した支援のあり方など,壮年期・高齢期の人たちの地域での暮らしをより豊かなものにしていくための生活支援の実践的課題について明らかにした。さらに,終末期を含めて後期高齢期の支援には,ただただ健康や疾患に配慮するだけの消極的な支援ではなく,「人生の満足」を追求した積極的な視点が求められていることも示した。

言及状況

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知的障害のある人の加齢と地域生活支援の実践的課題 http://t.co/VBdYPh4I3H

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