著者
植田 章
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-17, 2008-03-01

本稿は,障害者自立支援法による福祉サービスの提供と新たな事業体系への移行が福祉施設・事業所の運営と福祉実践にどのような影響をもたらしているのか,人員,設備および運営に関する基準からその問題点を明らかにした。知的障害者入所更生施設における業務調査では,障害者支援の特徴や固有の専門性として,問題対応型の支援の提供にとどまらず,予防的な視点からも支援が提供されている点,基本的な日常生活支援や外出支援においては,利用者のわずかな変化への気づきを通して,事態を予測した対応が随所でなされている点,生活全体を支援する視点を疎かにしていない点が浮き彫りになった。また,職員の働きかけが,職員聞の連携,集団性の確保と利用者の日常的な関係づくり,利用者の「想いや意欲」に寄り添う姿勢を重視してなされている点も明らかになった。障害者自立支援法の新たな事業移行では,施設入所支援等の「暮らしの場」が位置づけられているが,不十分な職員配置基準や設備基準,低い報酬問題に見るように,その移行は必ずしも容易ではなく,業務調査で浮き彫りにされた福祉実践の専門性を担保するものとはなってはいない。こうした点から,あらためて暮らしの場を支える機能と専門性を検討することの重要性について論じた。
著者
須藤 元喜 上野 加奈子 大野 洋美 植田 章之 豊島 晴子 矢田 幸博
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.33-38, 2010-05-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Many infants wear paper diapers during the gait-forming period. We measured electromyography during walking in 10 infants under 3 conditions, and analyzed the motion: naked, wearing a paper diaper, and wearing a paper diaper containing physiological saline. The gait test was repeated in the same infants after 4 months to investigate changes in the influence of paper diapers. In the first test, the muscle burden was not significantly increased by wearing a paper diaper alone, but that on the biceps femoris was significantly increased by a paper diaper containing saline. In the second test 4 months later, the burden on the biceps femoris due to a paper diaper and that containing saline were significantly decreased. Motion analysis detected the minimum distance between the bilateral knees was significantly broadened when wearing a diaper containing saline in the second test.
著者
植田 章
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.37-50, 2018-03-01

障害者の高齢化が進むにつれて,障害者支援の現場でも新しい課題が持ち上がっている。とくに,作業活動を軸に支援を提供する日中活動の場では,利用者の加齢に合わせ,どのような内容を提供していけばよいのかといった悩みや,人生の後半をこのまま変わらずに過ごすことでよいのかといった迷いが生じている。 本小論は,現場の課題に着目し,NPO 法人大阪障害者センターの「障害者の高齢期を支える支援プログラム開発プロジェクトチーム」で取り組んだ知的障害者を対象とした高齢期の支援プログラムの開発モデルの提案と,高齢期支援プログラムの基本的な考え方について述べたものである。 開発モデル案として一つは,「健康づくり」を目的とした活動を取り上げ,客観的なアセスメントによる身体機能の把握が基礎になること,知的障害者の場合,自らの身体の不調を認識したり,表現したりすることが困難な場合が多いことから,日常的に健康チェックを行ったり,様子を注意深く観察したり,丁寧に本人に聞き取るなどして,プログラムを実行することが望ましいことを明らかにした。二つめは,その人の過去の出来事や社会とのつながりについて回想する「自分史の振り返り」プログラムを取り上げている。こうした取り組みから,元気に社会で活躍した時期の記憶が,その人にとって生きる励みになるということを浮き彫りにした。 さらに,開発モデル案をふまえて高齢期の日中活動の考え方として,中年期・高齢期においては身体機能の低下を防ぎ,生活能力を維持・向上するための「生活プログラム」をベースに展開されることが求められてくることと,これまでと同様に,障害者が生産的な活動に参加することを通して,生き甲斐や達成感を持つことができるような支援も続けていかなくてはならないことについても述べている。高齢知的障害者支援プログラム日中活動介護保険制度
著者
植田 章夫 後藤 一輔 福原 篤 森 亮太 小松 史 達谷 英文 千野 武廣
出版者
(公社)日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.521-533, 1998-12-30
参考文献数
21

HAP implants bond directly with bone, the load and distribution of occlusal force differs from that of natural teeth, which have physiological motility. More specifically, we considered the occlusal force is a key measure of the restoration of chewing ability. We performed a clinical investigation of the restoration of chewing ability and changes over time in peripheral gingiva in patients that had received HAP-coated dental implants (SUMICIKON®)The results and implications can be summarized as follows:
著者
植田 章夫 後藤 一輔 福原 篤 森 亮太 小松 史 達谷 英文 千野 武廣 Ueda Akio Goto Kazusuke Fukuhara Atsushi Mori Ryota Komatsu Fuhito Tatsuya Hidefumi Chino Takehiro
出版者
(公社)日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 = Journal of Japanese Society of Oral Implantology (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.521-533, 1998-12-31

HAP implants bond directly with bone, the load and distribution of occlusal force differs from that of natural teeth, which have physiological motility. More specifically, we considered the occlusal force is a key measure of the restoration of chewing ability. We performed a clinical investigation of the restoration of chewing ability and changes over time in peripheral gingiva in patients that had received HAP-coated dental implants (SUMICIKON®)The results and implications can be summarized as follows:
著者
植田 章夫 中嶌 哲 川上 敏行 千野 武廣
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.126-131, 1997

今回, 潰瘍性大腸炎のため長期にわたり副腎皮質ホルモン剤を投与されていた潰瘍性大腸炎患者に発生した下唇癌の1症例を経験した。原発巣の制御はなし得たが, 早期に頸部リンパ節転移ならびに遠隔転移が出現し, 死の転機をとった。本症例では副腎皮質ホルモン剤の長期投与が免疫機構に異常をきたし, 転移を含め, その予後に影響をおよぼしたものと考えられた。
著者
小松 史 山田 哲男 植田 章夫 中島 潤子 中嶌 哲 川上 敏行
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.506-508, 1999-08-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
16

According to the classification of the World Health Organization (WHO), primary intraosseous carcinoma (central carcinoma) is defined as a squamous cell carcinoma arising within the jaw, having no initial connection with the oral mucosa, and presumably developing from residues of the odontogenic epithelium.We report a case of central carcinoma occurring in a 69-year-old man. Marsupialization was performed under the diagnosis of residual radicular cyst.Histopathological examination revealed a moderately differentiated squamous cell carcinoma with atypical lining epithelium. A combination of radiation and chemotherapy was given, followed by a partial maxillectomy. Unilateral total neck dissection was performed 3 months after the initial operation. Five years later, the patient has been free of recurrence and distant metastasis.
著者
植田 章
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-32, 2010-03-01
被引用文献数
3

障害のあるなしにかかわらず,老化には個人差がある。ダウン症者においては壮年期にさしかかった頃にアルツハイマー症状を呈したり,身体的機能の低下をもたらすなどの「早期老化」傾向が確認されているが,知的障害のある人たちの「老い」が一律的に早いということではない。しかし,彼らが被ってきた社会的な不利益が壮年期・高齢期の暮らしを大きく規定していることは確かであり,このことは,知的障害のある人たちの加齢研究の重要な視点と言える。 本小論では,筆者が実施した「知的障害のある人(壮年期・高齢期)の健康と生活に関する調査」の結果をふまえ,健康保持と日常的な生活アセスメントの重要性や環境要因についての検討の必要性,高齢化する家族に対応した支援のあり方など,壮年期・高齢期の人たちの地域での暮らしをより豊かなものにしていくための生活支援の実践的課題について明らかにした。さらに,終末期を含めて後期高齢期の支援には,ただただ健康や疾患に配慮するだけの消極的な支援ではなく,「人生の満足」を追求した積極的な視点が求められていることも示した。