著者
原 清治
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.7, pp.59-72, 2008

先進諸国において近代化を促進するプロセスを解明するひとつの理論として人的資本(humancapital)論がある。人的資本論は、個人により高度な教育機会を提供することが人間の資本としての資質を向上させ、良質な労働力を多く輩出し、結果として国家の近代化が促進されることにつながるという文脈を辿るものである。たとえば、発展途上国における教育開発や教育計画の多くは人的資本論にもとついていた。しかしながら、先進諸国の経済成長から理論化された人的資本論は限界を迎えつつある。その証左として、先進諸国を中心として、正規雇用に就くことができずに非正規雇用に就かざるをえない若者である「使い捨てられる若者」の増加があげられる。本研究は、先進諸国のなかでもとくに高学歴フリーターの多い日本において、「使い捨てられる若者」がどのように排出されているのかという過程について、計量分析を用いて明らかにすることを目的としている。結果として、日本型の「使い捨てられる若者」は、学力を基底とした分布によって使い捨てられる過程に大きな違いがみられ、その背景に応じた就業支援をしなければ、彼らを再び正規雇用へ移行させることは難しいという実態が析出された。翻って、その対策としては、子どもたちに対する教育の熱意やまなざしが彼らの人的能力を向上させるという「教育資本」論の視点が、日本型の「使い捨てられる若者」に対して一定の効果をあげることができるのではないかという点にも言及している。人的資本教育資本使い捨てられる若者教育開発

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これという仕事を決める前のその場しのぎの職業ってなんか用語があったようなと思ってちょっと読んでるのが分からんかった。 「使い捨てられる若者」の排出過程に関する実証的研究 https://t.co/vmBKkId16N

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