著者
平松 隆円
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.10, pp.175-181, 2011
被引用文献数
1

人は不快な感情を最小限にし、快の感情を最大限にしようと、様々な行動をおこなう。そのような感情調整行動の一つに、化粧がある。本研究の目的は、化粧のもつ日常的な感情調整作用に注目し、男子大学生15名(平均年齢=20.87歳、SD=0.62)を対象に、化粧行動としてのマニキュアの塗抹がもたらす感情調整作用について検討することである。マニキュア塗抹前後の感情の変化をProfile of Mood States(POMS)によって測定したところ、マニキュアの塗抹にともない、「混乱」が有意に低下することが明らかとなった。本研究の結果から、マニキュアの塗抹は部分的ではあるが、リラクセーションに有用であることがわかった。化粧行動感情調整作用マニキュアリラクセーション男子大学生
著者
平松 隆円
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.7, pp.211-223, 2008

社会学,心理学,文化史学など,女装(この場合,広義で男性が女性物の衣服を着ること)に関する研究は,多い.しかし,ほとんどの場合,「服装倒錯」「変身願望」「女性化志向」「衣服における性差のあいまい化」などを,指摘するにとどまる.それは,女装をおこなう者の声をもとにしているのではなく,男らしい男性なら,男らしい衣服を着るということが前提として研究がすすめられているからである.一般的には,服装において形態上の男女差があらわれたのは,最もはやいヨーロッパでも中世以降とされている.それ以前は,男女とも基本的には筒状の衣服を着ていた.日本においても同様である.日本の衣服(着物)の場合,そこには男女差はない.着物の合わせは男女で同じ.むろん,柄による違いはあるが.服装における男女差が広がったのは,産業社会化がすすみ,社会的なレベルでの男女の役割分担が浸透することにより,男性はシンプルで地味な,女性は形も色も華やかという方向に向かっていったからだ,つまり,どのような服を着るかということは,社会や文化と無関係ではいられない.にもかかわらず,これまで社会や文化といった外的側面から,また個人の性格特性といった内的側面から総合的におこなわれた研究は,ほとんどない.本論では,現代における女装行動として,「ギャル男」をあつかう.彼らはなぜ,女の子たちと全く同じファッションをおこなったのか.「ギャル男」を報道したメディアや「ギャル男」の生の声を中心とする言説分析に加え,社会心理的研究の結果を加味することで,現代における女装行動の意味を文化心理的に考えてみたい.女装異性装若者フェミ男ギャル男ギャル渋谷文化心
著者
中村 義行
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-10, 2011

本論文では、障害を理解するということは何なのか、障害を理解するにはどうあるべきなのか、障害理解を進めていくにはどのような取り組みがあるのかについて検討するために、「障害を理解するということ」「障害の概念」「障害理解研究」「障害理解教育」について検討し、あわせて「知見」と「かかわり」からも考察した。その結果、国際的にも国内的にもインクルージョンの理念が具体化されつつあり、個人や社会における障害理解は進みつつあるが、教育の本質や人間の本質に至るまでの「障害理解の視点」は未だ浸透していないことが考察された。今後、障害理解教育等に代表される障害理解研究によってさらなる検討が求められた。障害理解障害理解研究障害理解教育態度・接触インクルージョン
著者
平松 隆円
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.175-181, 2011-01

人は不快な感情を最小限にし、快の感情を最大限にしようと、様々な行動をおこなう。そのような感情調整行動の一つに、化粧がある。 本研究の目的は、化粧のもつ日常的な感情調整作用に注目し、男子大学生15名(平均年齢=20.87歳、SD=0.62) を対象に、化粧行動としてのマニキュアの塗抹がもたらす感情調整作用について検討することである。 マニキュア塗抹前後の感情の変化をProfile of Mood States ((POMS) によって測定したところ、マニキュアの塗抹にともない、「混乱」が有意に低下することが明らかとなった。 本研究の結果から、マニキュアの塗抹は部分的ではあるが、リラクセーションに有用であることがわかった。
著者
平松 隆円
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.107-112, 2009-03

This study was focused on the every day feeling adjustment with makeup. The purpose of this study was clarified whether manicure had as influenced to be desirable for feeling adjustment. The analytical subject was 40 female university students (M=19.68years old, SD=2.03). The index used Profile of Mood States(POMS). After using manicure, "Tension-Anxiety score","Depression -Dejection score","Anger-Hostility score", "Fatigue score","Confusion score" decreased significantly of Profile of Mood States(POMS) and "Vigor score" increased significantly of Profile of Mood Sates(POMS). The result of this study indicated a fact it is possible to give positive feeling adjustment affects on female university students through the using manicure. 本研究の目的は,化粧の日常的な感情調整作用に注目し,女子学生40名(平均年齢=19.68歳,SD=2.03)を対象に,マニキュアのもたらす感情調整作用について検討することである. マニキュア使用前後の感情の変化をProfile of Mood states(POMS)によって測定したところ,マニキュアの使用にともない,「緊張-不安」「抑うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「疲労」「混乱」が有意に低下し,「活気」が有意に上昇することが明らかとなった. 本研究の結果から,マニキュアの使用はリラクセーションに有用であると考えられた.
著者
原 清治
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.7, pp.59-72, 2008

先進諸国において近代化を促進するプロセスを解明するひとつの理論として人的資本(humancapital)論がある。人的資本論は、個人により高度な教育機会を提供することが人間の資本としての資質を向上させ、良質な労働力を多く輩出し、結果として国家の近代化が促進されることにつながるという文脈を辿るものである。たとえば、発展途上国における教育開発や教育計画の多くは人的資本論にもとついていた。しかしながら、先進諸国の経済成長から理論化された人的資本論は限界を迎えつつある。その証左として、先進諸国を中心として、正規雇用に就くことができずに非正規雇用に就かざるをえない若者である「使い捨てられる若者」の増加があげられる。本研究は、先進諸国のなかでもとくに高学歴フリーターの多い日本において、「使い捨てられる若者」がどのように排出されているのかという過程について、計量分析を用いて明らかにすることを目的としている。結果として、日本型の「使い捨てられる若者」は、学力を基底とした分布によって使い捨てられる過程に大きな違いがみられ、その背景に応じた就業支援をしなければ、彼らを再び正規雇用へ移行させることは難しいという実態が析出された。翻って、その対策としては、子どもたちに対する教育の熱意やまなざしが彼らの人的能力を向上させるという「教育資本」論の視点が、日本型の「使い捨てられる若者」に対して一定の効果をあげることができるのではないかという点にも言及している。人的資本教育資本使い捨てられる若者教育開発
著者
山内 乾史
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.20, pp.175-188, 2021-03-18

現在,「ブラック校則」をめぐる議論が盛んである。しかし,校則をめぐる学術的議論は極めて少ない。本稿では,その数少ない校則をめぐる学術的議論およびその周囲の議論を取り上げ,校則とは何かを問い,校則と道徳の関係を検討することを目的とする。具体的には,まず先行研究を概観し,校則をめぐる議論を整理した。ついで,青春ドラマ(学園ドラマ)に現れた教師像の分析を通じて,教師・校則と学校文化との関係を検討した。従来の研究においては,校則は「明文化されたもの」と考えられているが,明文化されないものも含めて,校則は規則の類に留まらず学校文化の中に「学校的なるもの」として埋め込まれたものをも含めて成立するのであり,学校文化=文脈を考えて検討すべきものであると論じた。ブラック校則合理性学校的なるもの学校文化青春ドラマ(学園ドラマ)
著者
齋藤 浩
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.8, pp.113-125, 2009

保護者の学校に対する利己的な言動は増加の一途を辿っている。多くの教師が「保護者の対応が増えた」と指摘し、教育現場は「まず子どもありき」ではなく、「まず保護者ありき」と大きく様変わりしている。なぜこのような事態になってしまったのか。きちんと背景を探ることが解決の第一歩だと考えるが、多くの先行研究は極端なクレームを列挙することで不安を煽り、適当な原因を無責任に指摘するだけである。本研究では実際の事例やデータの分析を中心に検証した結果、「何らかの社会変動のため、保護者の学校や教師に対する信頼感の低下や利己的な言動を特別なものとは思わない風潮を呼び起こすことになった。そして個人でまた親しいグループでいても社会通念から孤立している保護者が真っ先にその影響を受けることになった。」と判明した。モンスターペアレント利己的言動クレームトンチンカンな要求社会変動孤立
著者
平松 隆円
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.6, pp.161-181, 2007

聖書は、キリスト教を信ずる人々にとっての信仰と生活の規範のよりどころである。すなわち、聖書はたんなる宗教上の教義としてだけではなく、キリスト教を信仰する人々の倫理観や道徳観と関連し、彼らの日常生活に影響を与えている。それは美粧に対しても例外ではなく、特に聖書が与える化粧への影響は大きい。歴史的にキリスト教社会では、謹直な生活態度が規範とされてきたといわれる。すなわち、化粧などで美しく身を飾ることを大きな罪としてとらえ、自然のままの姿でいることを善とする思想が主流をなしている。にもかかわらず、聖書には化粧の明確な否定や批判はほとんど見当たらない。しかし、化粧を勧める記述は神自身の行為、そしてイエスの言葉から確認できる。キリスト教社会の化粧への批判・否定は、聖書に根拠をおくものではなく、キリスト教聖職者の性生活と深く結びついているのである。キリスト教聖書美粧化粧性風俗
著者
小林 雅子
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 = Bulletin of the Faculty of Education of Bukkyo University (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-49, 2018

学生が大学で幾何学を学ぶにあたり,高校までのような,ユークリッド空間内の図形の問題を解くのではなく,ユークリッド空間の部分集合としての図形のとらえ方などを習得するため,集合の記号や不等号の表す領域等,それまで図形と関連しては意識していなかった対象物を再確認することになる。その際,大学の数学テキストでは往々にして当然のように用いられている数学記号や図形の表現方法が学生には定着しておらず,幾何の問題そのもの以前に表現方法の理解不足から問題解決に至らないことがしばしばある。 そこで本稿では幾何学初年度講義において学生に調査を行い,図形表現方法の定着がどの程度であるか考察する。大学幾何学教育図形表現ユークリッド幾何
著者
齋藤 浩
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.9, pp.111-122, 2010

モンスターペアレントの対応策として、多くの自治体が苦情対応マニュアルの作成、対応専門チームの組織、弁護士や臨床心理士の活用等の手だてを取っている。だが、これら現行の対応策が、学校の現場の実態や教師のニーズにこたえたものかどうか、充分な検証が出来ていない。そこで神奈川県の小学校教諭524名に保護者の利己的な言動の様子や仕事に与える支障の程度等のアンケートを取ったところ、現行の対応策に対する課題が見えてきた。それは「対症療法的で長期的な解決策ではない」等の課題である。学校と家庭とが更に信頼し合う対応策も必要だという傾向が見えてきたのである。そこで、連携及び融合の一つのモデルをコミュニティスクールに求め、全国の55の小学校に調査をしたところ、保護者の利己的な言動が減っている実態が明らかになってきた。モンスターペアレント利己的言動対応策コミュニティスクールスクールコミュニティ
著者
湯谷 道雄 高橋 司
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 = Bulletin of the Faculty of Education of Bukkyo University (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-12, 2017

弓削保育所は、京都市の北の果て、過疎地域にある小さな保育所です。それだけに保育の活性化を図らなければなりません。そのために地域ぐるみで様々な取り組みを起こしました。保育を語り、想いを伝え、保護者や地域の方々に協力をいただくことにより、子どもの姿が変わり、周りの大人や地域がより子どもたちのことを知り、地域全体が元気になることで地域が持続していくことに繋がればと願って、保育環境の改造に取り組んだ実践記録です。保育環境地域保護者公助・共助文化の伝承