著者
室田 辰雄
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.155-163, 2008-03-01

陰陽道において、儀礼や天文・暦といった知識の保証されたものは、本書、本条とよばれる典拠であった。それは時代を経るごとに増え、新たな禁忌や儀礼の典拠とされた。sの中でも鎌倉前期成立の安倍家の陰陽書『陰陽道旧記抄』には二種の神話が収録されている。一つは院政期の歌論書などに散見される「日本記」である。中世において読み替えられた「日本記」が伊勢神道や密教のみならず、陰陽道にも取り入れられ、祓の起源として説かれていることが本書の「日本記」の特徴であった。もう一方の仏典散見される「須弥四域経」は、「日本書記」ではないものの、「日本記」のバリエーションとして諸宗教に読み替えられていた言説であった。本書においても天体の起源を語る為に典拠とされていた。これらの事は陰陽道の典拠に「中世日本紀」を含むことが可能であることを示している。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 2 favorites)

メモ2 室田辰雄「『陰陽道旧記抄』と「中世日本紀」について」https://t.co/PTSLKWcPuW

収集済み URL リスト