著者
星野 伸明
出版者
日本統計学会 = Japan Statistical Society
雑誌
日本統計学会誌. シリーズJ (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.23-45, 2010-09-01
参考文献数
72
被引用文献数
1

公的統計のミクロデータ利用を促進する上で大きな課題を二点挙げると,一点目は利用目的制限の緩和,二点目は利用可能な統計調査の拡大である.本稿ではこれらの課題の解決策を検討する.前者については,一般目的汎用ファイルの提供が望ましい.これを実現するには,絶対的な匿名性を持ち有用なデータの作成を目標とするべきである.後者については,事業所・企業調査など匿名化が難しいデータも提供するのが望ましい.匿名化が困難な場合について先進的事例を調査したところ,原データの統計的性質を一部保存するデータの作成が目標となっている.そのようなデータを確率的に生成するのが模造(synthesis)という概念であり,一般目的汎用ファイルの作成でも有用である.従って本稿では,模造手法も整理して紹介する.

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