- 著者
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本田 聡
志田 修
山村 織生
- 出版者
- 日本海洋学会
- 雑誌
- 沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.39-47, 2003-08-26
- 被引用文献数
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3
スケトウダラ太平洋系群は,親潮および沿岸親潮の影響が及ぶ北海道〜東北太平洋岸の陸棚および陸棚斜面域に分布する重要漁獲対象資源である.主要な産卵場は冬季の噴火湾口部周辺海域に形成される.春季に孵化した着底前0歳魚の多くは日高湾のごく沿岸域に沿って東進し,秋季までに0歳魚の成育場と考えられている道東海域に到達する.この移動は春〜夏にかけての動物プランクトン豊度の移動と一致する.成熟までを主に道東陸棚域で過ごした未成魚は,3〜5歳の冬に初回の成熟を迎え,噴火湾口部へ産卵回遊する.産卵後の成魚は再び道東海域へ移動し,摂餌を行う.以後,成魚は夏の索餌期には道東,冬の産卵期には噴火湾口部へと,襟裳岬を挟んでの季節回遊を繰り返す.本資源は,北海道太平洋岸に隣り合って位置する二つの異なる海域,噴火湾口部周辺海域および道東海域の特性をそれぞれ有効に活かす生活史を持つに至ったと考えられる.