- 著者
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空閑 浩人
- 出版者
- 一般社団法人日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, no.1, pp.44-54, 2001-08-31
今日,社会福祉施設における利用者への虐待の問題が表面化・深刻化している。本稿では,その要因の1つとして施設内における職員組織や集団のあり方に着目する。まず,施設における援助者は職員組織や集団の一員として働くことになるが,そのことにより周囲からのさまざまな影響(状況の圧力)が,結果的に援助者を専門職倫理に反する行為に至らしめるといった社会心理的な要因を「服従」「同調」「内面化」という現象を通じて明らかにする。次に,そのような状況の圧力に屈してしまう援助者の「弱さ」に着目して,その克服に向けての考察を行う。援助者には,いかなる状況であっても,専門職倫理や価値に基づき,利用者の人権と生活を護るという職業的責任を果たす「強さ」が求められる。そのような「強さ」は自らの「弱さ」を認め,それに向き合うことによってこそ得られると考える。