著者
今井 小の実
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-11, 2002

1934年母性保護法制定促進婦人連盟として誕生した母性保護連盟は,母性保護運動を展開し,1937年の母子保護法制定に貢献した。その連盟誕生の産婆役をつとめたのは,婦選獲得同盟であった。婦人の参政権獲得を目的として結成された女性団体が,母性保護連盟を生み出し,母性保護運動に積極的にかかわっていくのは,戦時体制へと突入し,婦選運動が閉ざされていく状況にあったからだといわれている。しかし同盟が母性保護運動に取り組んでいく方向性は,1928年にはすでに示されていた。同盟には従来の研究では説明されてこなかった母性保護運動を開始する別のモチベーションも存在したのではないだろうか。本稿の目的は,同盟の母性保護運動に対する従来の評価に,新たに大正時代の母性保護論争から続く"継承性"という視点を加えることによって,その揺籃期のモチベーションを明らかにしようとするものである。

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