著者
千種 民江
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.31-36, 1993-03-20

本研究は我が国の学校音楽教育のルーツと変遷に関する継続研究の一過程である。我が国の学校音楽教育は明治初期に発足した音楽取調掛に端を発するが,当時そこへはペスタロッチ主義の音楽教育法がアメリカを経由して取り入れられたと言われている。スイスで始められたこの音楽教育法のオリジナルな内容については,先の研究において既にその概要を明らかにした。今回はそのアメリカ導入と変化について,ネーゲリー,プファイファーの「ペスタロッチ主義の原理による歌唱教授法」とL.メーソンの「ペスタロッチ主義の音楽教師」との比較を中心とした研究を行った。両者間には種々の類似点,相違点が見られるが,特に次の2点から後者はより改良された形のペスタロッチ主義音楽教育法と云ってよい。(1)リズムとメロディーの結合により生徒は音楽本来の美と楽しさを獲得しうる。(2)メーソンは彼独自の方法で子供の発達及び心理学的側面をより深く追求した。

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