著者
松尾 千秋
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.1-9, 2006-09-10

今日では,全国の小,中,高等学校の運動会・体育祭などにおいて,「南中ソーラン」がブームとなり,運動会・体育祭などを席巻しつつある。そこで,本研究では,人々の興味・関心を抱かせる教材とは何かについて探求するため,(1)用語から抱かれるイメージ,(2)ビデオ視聴後のイメージ変化,(3)体験後のイメージ変化などを調査した。その結果,"日本の民俗舞踊"という用語に対する,重い,暗いイメージは,舞踊ビデオ視聴によって,大きい,明るい方向へ変化し,さらに,「南中ソーラン」を体験することにより,強いイメージが増し,むずかしいイメージは軽減されていた。これらのことから,人々の興味関心を抱かせる「南中ソーラン」の教材的価値を推測することができた。
著者
伊東 治己
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.39-48, 2006-12-01 (Released:2018-05-08)

平成16年12月に経済協力開発機構(OECD)による2003年度国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表されて以来,世界的な規模でフィンランドの学校教育が教育関係者の注目を集めている。日本においては,フィンランドの成績との比較から,特に国語教育や算数・数学教育のさらなる推進・改革が叫ばれているが,フィンランドとの比較という文脈では, PISAでは対象となっていない英語は実に悲惨な状況にあることが殆ど理解されていない。本発表は,小学校への教科としての英語の導入を視野に入れ,平成17年3月から7月にかけて実施したフィンランドでの英語教育に関する現地調査の結果を報告するものである。学校訪問と関係者への聞き取り調査の結果を基に,フィンランドの小学校英語教育の実態を報告するとともに,担当教師の英語授業観についても論究し,グローバル化への迅速な対応が求められている日本の学校英語教育への示唆を提示する。
著者
橋原 孝博
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.35-41, 2004-06-30

本研究の目的は,バレーボールゲームにおけるサーブ距離とサーブレシーブ成績との関係を検討することにより,フローターサーブの技術指導に関する資料を得ることであった。大学女子バレーボールの試合71セットをビデオ撮影し,再生画像をパソコンに取り込んで分析した。サーブの位置データは2次元DLT法により算出し,サーブ効果は,相手サーブレシーブ成績をサービスエース,チャンスボール,二段攻撃,コンビ攻撃の4段階評価して求めた。サーブ効果有のサーブ回数が多かった打球距離は,17mと21m付近の二ヶ所あった。サーブの打球距離が長くなれば,ボールが臨界速度に達して空中で急激な変化を生じ,サーブレシーブが難しくなる。またジャンプフローターのような,打球方向が水平に近く,助走踏切中に生じた水平方向の運動量を利用した打球速度が速いサーブを用いれば,打球距離が短くてもボールは空中で変化を生じ,サーブ効果があげられると考えられた。
著者
原田 大樹
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-40, 2010

本稿は,昭和30年代に行われた共通語指導を明らかにする研究の一環として,鹿児島県で作成・使用された教材『ことばのほん』について,その内容・特徴・及び意義について明らかにすることを目的としている。『ことばのほん』は,鹿児島県国語教育研究会・鹿児島県教育委員会の共編で,それまでの標準語・共通語指導において,確固とした教材がなかったことや,教師の経験不足等による共通語指導の不振に対応するために作成された。そのねらいは,児童が共通語を自由に使用できることにあり,児童の日常生活や経験に基づく指導を行おうとしている。そのため本書の内容は,「ことば」の矯正に加え,アクセント・イントネーション等の音調に関する事項が多く含まれている。さらに,その使用方法については,特設の時間で,実践的活動によって,また,音声機器も併用して指導するように示され,音読,劇化などによって指導している。この結果,本書は,児童が共通語を体系的・経験的に学べるテキストであるという点に特徴と意義が見いだせる。
著者
村上 枝彦
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.123-132, 1977-10-31

Investigatng Science with ChildrenはNSTA(合衆国理科教育連合体)がNASAのもとにプロジェクトチームを作り,初等教育における理科教育の進歩のために編さんされたもので,1. Living Thing, 2. The Earth, 3. Atoms and Molecules, 4. Motion, 5. Energy in Waves, 6. Spaceの全6冊からなり,それぞれA-4版90〜100ページのものである。本論文はその即成の基本理念を紹介するとともに,特に化学と関係の深いAtoms and Moleculesにある64の単元(実験例)から各章ごとに1単元を選び,4単元について紹介する。
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.87-94, 1986-08-31

本研究は,高校物理テストを事例にして,記述式テストの誤答分析について報告している。本研究では,誤答のタイプを,基本的ミス,ケヤレスミス,前問ミスの3つに分類する。基本的ミスとは,基本的に理解できていない事による誤答であり,ケヤレスミスとは,単純計算ミスや図への記入の仕方等のミスによる誤答であり,前問ミスとは,構成式回答形式になっている問題で,前問が誤答のために生ずる誤答である。さらに,ケヤレスミスを,単純ミス,単位ミス等の5つのカテゴリーに分類する。これらを記号化して誤答内容別の一覧表を作成し,この一覧表から誤答分析を行う。従って,この一覧表は,1,0表示によるS-P表よりも情報量は多い。分析の結果,高校物理Iの力学の運動の単元において,次の様な知見を得た。(1)ケヤレスミス全体は,基本的ミスとの相関が大きい。(2)ケヤレスミスの中で,かんちがいミスは基本的ミスと相関が小さく,理解能力とは別の因子で生ずるミスであると推測される。(3)かんちがいミスは, S-P表の注意係数を大きくする。(4)答案に誤答内容を訂正して返却する事は,同一のケヤレスミスをおこす割合を減少させる効果がある。以上の結果を得たが,ケヤレスミスは全単元に共通している事,基本的ミスに比較して,学習指導の労力と学習効果の上で注目すべき誤答タイプと考えられる。
著者
宜保 真喜子 浅井 玲子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.41-47, 2007-12-25
被引用文献数
3

研究目的は,家庭科教育における高齢者に関する学習経験が高齢期思考度・支援度に及ぼす影響を明らかにすることである。沖縄の高校生1200人余にアンケート調査を行った。これまでの学習経験が1番多かったのは「高齢者に関する知識の説明・講義」,2番目に「体験グッズ」であった。興味関心がある学習で,1番多かったのが「体験グッズ」で,2番目が「地域の高齢者との交流」であった。家庭科教育において高齢期に関する学習経験「有」と答えた高校生は,「無」と答えた高校生に比較して高齢期思考度・支援度共に高くなっていた。また,高齢者と直接ふれあう学習経験の方が,直接は触れ合わない学習経験に比較して高齢期思考度・支援度共に影響が大きい事がわかった。
著者
西川 純 岩田 亮
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1-8, 1999
被引用文献数
2

本研究では2つの調査を行った。第一調査では,4種類の調査問題を作成した。理科A問題は,単位を付けたオームの計算問題である。理科B問題は,数学では使わない記号E,R,I)を使ったオームの計算問題である。理科C問題は,単位を付け,数学では使わない記号を使ったオームの計算問題である。数学問題は,以上の理科問題で用いた計算を含んだ問題である。それぞれの問題の解答行動における文脈依存性を比較した。その結果,理科の計算が難しい原因は単位であることが明らかになった。第二の調査では,3種類の調査問題を作成した。数学問題は,分数に関する問題である。理科問題は,分数計算を含んだ,オームの計算問題である。社会問題は,分数計算を含んだ人口密度の問題である。それぞれの問題における文脈依存性を比較した。その結果,各教科における認識の文脈依存性は,内容と個人特性に依存することが明らかとなった。
著者
久田 隆基
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-53, 1981

事象のある特定の状態や関係を示すときに使われる「一定」と事物の異同関係を示す「同じ」,「等しい」などの用語の意味・用法を明らかにするために,3種類の中学校理科教科書を用法のモデルとして,それらの中で使われている各用語の用例を調べた。各用語の用例から,意味・用法の分析を行なったところ,「同じ」と「等しい」は,大まかに分けて,それぞれ2通り,また「一定」は4通りの意味に使われていることがわかった。各用語の用法についての明確な規則性は見い出されなかったが,各用語の主体となっている語の種類によって,それぞれの用語の使い方に制限があることがわかった。理科で多く使われ,多義的であり,また用法も複雑であるこれらのような用語の意味・用法は科学的読み書き能力の育成という観点からも,理科教育の中で教えられるべきであることを示唆した。
著者
田中 博晃 山西 博之
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.39-48, 2004-03-30

英語学習動機に関する研究は膨大だが,いまだ英語学習動機がどのようなものか十分に捉えきれていない。特に英語学習動機の全体像は見えても,(1)それが織りなす複雑なダイナミズムが今ひとつ明確ではなく,また(2)研究の成果が現実の教育現場と乖離してしまっている。そこで本論では,ある中学校1年生の少女の「語り」から,ある授業活動における学習者の動機づけだけではなく,家庭環境や学校外での学習なども内包したありのままの姿の動機づけを,生々しい形でリアルに描きだす試みを行なうことを目的とする。その結果,(1)教師に誉めてもらいたいのに,それを妨げる学級の雰囲気から生じる,満たされない欲求,(2)授業レベルは簡単すぎて面白くないが,その一方で良い成績を収めることよって得られる教師からのフィードバックを失いたくないという葛藤,(3)英語学習の社会的必要性を認識している一方,個人的な学習理由が見出せない矛盾,という英語学習動機の実態を浮き彫りにした。
著者
安藤 明伸 安孫子 啓 杵淵 信 鳥居 隆司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.1-7, 2007-03-20

本研究では,対面型授業における匿名発表方式が学習者にどのような影響を与えているかを明らかにするために,電子メールを利用した匿名発表を可能にするシステムを利用し,記名発表と比較しながら学習者の意識を調査した。匿名発表と記名発表に対する意識を比較した結果では,「言いにくいことを伝えやすい」,「意見を伝える時に恥ずかしさを感じさせない」,「授業の内容を理解できるように感じる」,「意見を表明することに意義を感じる」,「授業へ参画する気持ちが強まる」ということが明らかとなった。授業に匿名発表を導入することに対しては,大勢の学生が肯定的に評価していた。特に,授業に積極的に参画したいという意欲や,発表の苦手意識や恥ずかしいと思う不安意識が肯定的な影響を与えていた。また匿名での発表や通信料金を気にするという実施上の問題を改善したいという意欲は,否定的な影響を与えていた。全体的な傾向として匿名発表には,発表に対する抵抗感を軽減し,意見の表明をしやすくする効果かおるといえる。結果として積極的な授業参画を促し,多くの意見を期待することができることがわかった。
著者
森 秀夫
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.93-98, 1980-04-30

現在,世界的な規模で教師教育革新のための多くの試みが進められているが,特に,伝統的な教育実習についての問題が,多くの国々でとりあげられている。本論では,まず本学を中心として,戦前ならびに戦後の教育実習の歴史的な変遷をたどり,これに基づき,教育実習の新しい履習形態のあり方を検討したい。また,教科教育との関連のもとに,教育実習改善のための課題についても考察を進めたい。
著者
多ゝ納 道子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.127-137, 1995-12-25

本報では,現在小・中規模校が大部分を占め,将来においてはさらに学校規模の縮小が予測されている島根県の技術・家庭科担当教員の指導実態と意識を明らかにし,男女共学の技術・家庭科を推進するための課題を把握することを目的としている。調査結果として,つぎのようなことが明らかとなっている。技術・家庭科担当教員には,無免許者が多く,特にその傾向は,小規模校の教員に顕著である。小規模校の教員は,技術・家庭科のほかに,1〜2の教科を担当しているのが一般的である。技術・家庭科の免許所有者と無免許者では,男女共学による担当希望に差異が認められ,免許所有者の方がより強く希望している。また,男女共学による指導経験のない教員は,男女の生徒の学習能力により大きな差異があると理解している。その傾向は,技術系列担当教員に明確に認められる。伝統的な性別役割意識をもつ教員と民主的な考えをもつ教員では,家庭科観が異なっている。これらの結果からみて,島根県の教育環境の特徴としてあげられる小・中規模校においても免許所有者が技術・家庭科を担当することが重要であるといえる。
著者
千種 民江
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.31-36, 1993-03-20

本研究は我が国の学校音楽教育のルーツと変遷に関する継続研究の一過程である。我が国の学校音楽教育は明治初期に発足した音楽取調掛に端を発するが,当時そこへはペスタロッチ主義の音楽教育法がアメリカを経由して取り入れられたと言われている。スイスで始められたこの音楽教育法のオリジナルな内容については,先の研究において既にその概要を明らかにした。今回はそのアメリカ導入と変化について,ネーゲリー,プファイファーの「ペスタロッチ主義の原理による歌唱教授法」とL.メーソンの「ペスタロッチ主義の音楽教師」との比較を中心とした研究を行った。両者間には種々の類似点,相違点が見られるが,特に次の2点から後者はより改良された形のペスタロッチ主義音楽教育法と云ってよい。(1)リズムとメロディーの結合により生徒は音楽本来の美と楽しさを獲得しうる。(2)メーソンは彼独自の方法で子供の発達及び心理学的側面をより深く追求した。
著者
竹尾 隆浩 松本 伸示
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.1-10, 2005-09-20 (Released:2018-05-08)

本研究は,Ryan & Deciの外発的動機づけを段階的なものとするとらえ方に着目し,総合的な学習の課題設定場面における動機づけについて事例研究を通して検討を試みたものである。動機づけにおいて重要とされる自己決定の認識を中心に,「学習者中心の本質的特徴は,学習内容に関する決定を自らが行うこと,すなわち自己決定することである」という立場から,総合的な学習の授業実践を質的に分析した。その結果,興味や関心,問題意識の高まりなくして自己決定はありえないということ,また,自己決定を生かす大切な要因として,共に学ぶ友達の存在の重要さが示唆された。そして,自己決定を阻害する要因として,課題と学習方法の同一視,不安や焦りの解消,友達への追従が確認された。
著者
伊藤 俊彦
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-63, 1982-05-20 (Released:2018-01-21)

Polya,G.(1945)の提唱した発見学的戦略による数学的問題解決モデルの実験的,実証的研究が,1970年代米国で数多くなされた。それらの実験的研究について共通していえることは,数学における問題解決過程に焦点をあて,Polya,Gの発見学を問題解決戦略として用い,問題解決過程を行動分析してその過程のメカニズムを解明することである。これらの実験的研究に共通した実験方法,問題解決過程の行動分析体系,よく使われる統計的手法などは,数学的問題解決の教授-学習の研究方法論や評価論の構築の基礎になると考えられる。数学的問題解決についての研究方法や評価は,わが国では明確に客観化されていない。そこで本報告は,数学的問題解決の研究方法や評価を明確に客観化するための基礎的研究として,1970年代の米国における数学的問題解決の実験的研究の考察を試みた。
著者
西内 舞 川崎 弘作
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.59-68, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
17

本研究では,自己決定理論から動機づけを捉え「理科学習の意義の認識」が「動機づけ」にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的とした。そのためにまず,学習者が認識している「理科学習の意義の認識」と「自己決定理論における動機づけ」を測定するための質問紙を検討,作成した。次に,中学生を対象にこれらの質問紙による調査を実施し,調査結果を基に理科学習の意義の認識が動機づけにどのような影響を与えているかについて共分散構造分析により明らかにした。その結果,理科学習を通して,学習者自身が,「理科学習の意義の認識」を「科学的能力」が身に付くと捉えると,「内発的調整」,「同一化・成長」の動機づけに正の影響を与え,「外的調整」には負の影響を与えていることが明かになった。また,「理科学習の意義の認識」を「科学と身近な自然や日常生活の理解」と捉えると,「内発的調整」,「同一化・成長」,「同一化・将来」の動機づけに正の影響を与えていることが明かになった。
著者
渡邉 政寿 大場 浩正
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.73-84, 2018 (Released:2020-01-26)
参考文献数
26

本研究は,日本人高校生の英語作文力が4か月間の教室内英語多読を経てどのように変化するかを調査したものである。「多読+ 英作文(ERW)」群と「多読のみ(ER)」群に分け,事前・事後に作文力と読解力テストを実施した。研究課題は,(1)教室内英語多読によって英語作文力が向上するか,(2)もし向上するなら,どの側面(内容,論理・構成,語彙,言語使用,句読点等の形式)か,及び(3)英語作文力のどの側面が英語読解力と読了語数に関連があるかであった。分析の結果,英語作文力の下位群では多読後に「句読点等の形式」以外において有意な伸長が認められた。また,ERW 群で「言語使用」,ER 群では「語彙」において英語作文力と読解力との相関がより強まり,指導法による差が認められた。更に,読了語数よりも読解力が英語作文力に影響を与えること,及び英作文評価観点の5項目にはそれぞれ「読解力」の有意な影響があることが判明した。
著者
鈴木 重人 池田 典子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.41-45, 1992

わが国には「以上」「以下」という語いがあるが、一般には気軽にまたは不用意に使用されることが多い。本来「以」には「と」とか「ともに」という意味がある。例えば、「5以上」は「more than 5」ではなく「5以下」は「less than 5」ではない。児童は2年生算数の授業で不等号記号を、4年生国語で漢字の「以」を、6年生算数で「以上」・「未満」の併用を学習する。しかし、学校で正しく習得した知識が、彼らの成長の過程でテレビ、ラジオ、雑誌などの影響により、あいまいになりがちとなる。学校教育では「以上」・「以下」の併用は禁物であることを力説する必要がある。児童・生徒は「以上」・「未満」の併用の学習と同時に、実用法律用語にみられる「超」・「以下」の併用をも学習するよう指導されることが望ましい。
著者
大野内 愛
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.85-95, 2016-06-30 (Released:2017-01-20)
参考文献数
6

本稿は,イタリアの中学校における音楽専門教育の成立とその内容について明らかにするとともに,イタリアにおける音楽専門教育機関の役割やその位置づけを解明することをとおして,イタリアの音楽教育の新たな特質の一端を見い出すことを目的としたものである。設立の背景から,普通教育機関が人間形成を目的として音楽科を扱っているのに対し,音楽院附属中学校は専門家育成を目的として教育を行っており,中学校音楽コースはちょうどその中間に位置づいていることがわかる。中学校音楽コースは,普通教育機関のように人間形成を目的としながらも,音楽に重点を置いた教育を目指しており,さらに音楽については,知識と技術を関連させて教育していこうとしている。つまりこうした教育機関は,音楽教育を中心とした学校教育を展開しており,この誕生は新たな学校教育の在り方の1つとして特筆すべきことである。