著者
多ゝ納 道子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.127-137, 1995-12-25

本報では,現在小・中規模校が大部分を占め,将来においてはさらに学校規模の縮小が予測されている島根県の技術・家庭科担当教員の指導実態と意識を明らかにし,男女共学の技術・家庭科を推進するための課題を把握することを目的としている。調査結果として,つぎのようなことが明らかとなっている。技術・家庭科担当教員には,無免許者が多く,特にその傾向は,小規模校の教員に顕著である。小規模校の教員は,技術・家庭科のほかに,1〜2の教科を担当しているのが一般的である。技術・家庭科の免許所有者と無免許者では,男女共学による担当希望に差異が認められ,免許所有者の方がより強く希望している。また,男女共学による指導経験のない教員は,男女の生徒の学習能力により大きな差異があると理解している。その傾向は,技術系列担当教員に明確に認められる。伝統的な性別役割意識をもつ教員と民主的な考えをもつ教員では,家庭科観が異なっている。これらの結果からみて,島根県の教育環境の特徴としてあげられる小・中規模校においても免許所有者が技術・家庭科を担当することが重要であるといえる。

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