著者
西園 芳信
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.203-208, 1996-02-20

本論文では,芸術,就中音楽の認識方法と表現の形成過程を究明することによって音楽の教育的価値と指導方法の原理を論究した。芸術は,人間の感情を直観によって感じ取りその意味を種々の媒体を通じ表現するものである。中でも時間芸術である音楽は,人間の感情を時間性を中心に表現し認識させるものである。かくして芸術・音楽は,次の教育的価値を持つといえる。芸術・音楽の経験によって人間の認識する範囲は拡げられ,人間の感情経験や作品に現われた感情への洞察力が育成されると共に感情の範囲と質が発達する。この芸術・音楽の認識方法から音楽科の指導方法の原理は次のように演繹される。(1)生徒の感情経験を音の構成によって表現させ,自己の感情を認識させる。(2)鑑賞の経験によって音楽の構造を認識させ,その音楽の感情を共有させる。

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