著者
西本 一雄
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.41-48, 1997-06-25

筆者の課題は,体育のなかに勝利主義の強い競争観が持ち込まれ,勝った・負けた,うまい・へたの結果主義,技能主義から派生する疎外状況を克服する学習指導を究明することにある。今回は大学の卓球の授業を対象にしてその学習指導を考える。授業の枠組みは競争の形を変え,そのなかで技術学習や仲間づくり学習を積極的に進めていくことで構造化した。競争の形は,個人の競い合いから班の競い合いという形につくり変え,それを得失点で班の順位を出す方法で具体化した。技術・仲間づくり学習は,4つの技術をみんなで科学し,うまくなるポイントを明らかにした。そして,「教え合い学習」を活発化していくことで,みんなの技能習熟を図った。それに伴い交流が深まり,うまい・へたを意識しない仲間関係を形成した。この枠組みで授業を進めていくことで勝利主義が出現しないで,だれもが積極的に取り組めることができ,まただれもが技能習熟を図り,質の高い試合展開が可能となった。そのことで,勝利主義的競争観の変革に迫る授業が実現できることが確認できた。

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