著者
松井 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.254, pp.21-29, 2010-10-21

アドホックネットワーク技術の研究は1970年代に米国国防関係で開始された.1997年にはIETF MANET WGで標準化活動が開始され,現在,標準化の一歩手前まできている.また,メッシュネットワークの標準化もIEEE802.11sで行われており,これについても,標準化が見えてきている.一方,アドホック/メッシュネットワークの実用化に向けての実証実験も行われている.主な,適用先は,イベント監視システム,災害対応システム,農地監視システムなどである.更に,実システムへの適用も始まっている.アドホックネットワークの実システム適用に向けた課題として,通信の信頼性向上や,マルチホップ時のスループット低下防止等が上げられるが,これらについても,無線品質を考慮したルーティング方式や,複数チャネル使用等の技術開発が進んでおり,解決のめどがたってきている.最近,アドホックネットワークの新たな適用先として,スマートメータや車車間通信等が注目されている.スマートメータについては,限られたリソースを前提に,500-1,000程度のメータからなる大規模アドホックネットワークを構築する必要がある.これについては,このような環境を想定した新たな標準を作るため,IETF ROLL WGが設立され,RPLというルーティング方式が議論されている.また,車車間通信については,エリアに向けたマルチホップ通信を行うGeoCastルーティングが必要であり,是についても,いくつかの提案がなされている.スマートメータや車車間通信では,500-1,000台規模のアドホックネットワークが構築する必要があり,隠れ端末問題が今まで以上に顕在化してくると考えられる.これについては,TDMA方式の導入が検討されているが,実用化に向けては,まだ,課題が多いと考えられる.

言及状況

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

収集済み URL リスト