著者
太田 健太郎 小林 健太郎 山里 敬也 片山 正昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.137-142, 2011-01-13

太陽エネルギーの取得を行う無線センサネットワークにおけるノード稼働率の向上を目指している.ネットワーク全体の消費エネルギーを低減できる方法として,データ送信時にノードがデータの中継を行う協力伝送方式がある.しかし,取得エネルギーの変動を考慮しない場合,夜間にノード稼働率が低下する問題が生じる.本稿では,電池切れにより停止したノードの再稼働条件を導入することで昼夜のノード稼働率の平滑化を行い,要求される高いノード稼働率を達成する.
著者
田岡 康裕 納谷 太 野間 春生 小暮 潔 李 周浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.138, pp.147-152, 2008-07-10
被引用文献数
3

本稿ではBluetoothによる受信信号強度を用いたユーザの位置推定手法を提案する.本手法は医療事故の発生要因の分析などにおいて重要となる,看護師のインタラクション情報を得るためのものである.本手法ではユーザに装着した移動局が複数の固定局から一定時間で得られる受信信号強度の平均値,最大値,最小値,中央値を特徴量として用いて位置推定を行う.本手法の有効性を評価するために,2床のベッドを配置した模擬的な病室環境での実験を行い,ベッド際のどの位置にいるかおよびそれ以外にいるかという識別については80%以上,どちらのベッドの患者に対するインタラクションかの識別においては90%以上の識別率が得られることがわかった.
著者
御子貝 良太 新津 善弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.447, pp.133-137, 2008-01-17

近年,誰もがいつでもネットワークにつながり利用できるユビキタス・サービスを実現する重要要素としてRFID (Radio Frequency Identification)が注目されている.今後,RFIDのタグの標準化の規格が決まり,タグの低価格化が進むことで,私たちの身の回りの様々な物にRFIDのタグが付与されることが期待されている.しかし,RFIDタグが増え続けることによって,タグが読み込まれた際のイベントが増加し,膨大な量のデータのやり取りが発生することが予想されている.本稿では,従来のRFIDシステムで用いられていたサーバ集中型の処理方法のかわりに,P2Pネットワークを用いてRFIDリーダ自身が情報を保持し管理することで,サーバに集中していた負荷を分散し,リアルタイムに起こるイベントに対応するRFIDシステムを実現するための構成法を提案し,その有効性を示すとともに,適用領域を明らかにした.
著者
高 博昭 上原 秀幸 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.131, pp.1-6, 2009-07-09

センサネットワークでは,ネットワーク全体での消費電力削減が重要な課題の一つである.本研究では,ノードのデータを冗長なく表現するために最低限必要な情報量を表す集約モデルを定義し,それに基づいたセンサノードのスケジューリング法を提案する.そして,このスケジューリング法をCLARISに適用する.スケジューリング法を適応されたCLARISは相関性指標クラスタリングと集約モデルに基づいたノードスケジューリングにより消費電力削減を図る.シミュレーション結果からCLARISは従来方式であるLEACHとCLARAよりも優れた消費電力特性を実現していることを示した.
著者
庄司 正成 澤田 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.7-12, 2011-01-13

音響情報に基づく様々な対象のセンシング,認識研究の一環として,人の存在,行動,状態の検出や認識の実現について検討している.本稿では,人の歩行をその足音に基づいて検出,追跡する可能性について実験的に検討した結果について報告する.室内において,マイクロホン4本からなる基本的マイクロホンアレーを床から2.5mの高さに設置し,床面上2次元における足音の位置推定,追跡について実験的に検討した.足音位置推定成功率のSN比依存性,位置推定の空間的誤差等を評価し,設定した実験環境においてはマイクロホンアレーを中心とした床面上7〜8mの範囲において十分な確度,精度で足音位置推定,追跡が可能であることを示す.足音1歩のデータに対して足音位置推定が正しく行われる時間軸上のデータ範囲を検討し,位置推定のためのデータ範囲を最適化するとともに,空間的に近接した複数人の足音については簡易な識別手法を用いることによって,現状,5人程度の歩行者については歩行の同時検出,追跡が可能であることを示す.足音位置と時刻との推定結果に基づき,各人それぞれの歩幅,歩く速さや方向等歩行の詳細な状態を評価することも可能である.
著者
今枝 卓也 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.138, pp.39-44, 2008-07-10
被引用文献数
2

近年,ユビキタス研究の発展により,様々なセンサが環境内に埋め込まれるようになってきた.しかし,環境内に埋め込まれたセンサ情報の取得はデータベースに関する知識の無いユーザには敷居が高く,センサ利用の妨げになっている.また,センサが多量になると,得られる情報が煩雑になりすぎ目的の情報にたどり着けないという問題が発生する.本研究ではこれらの問題を解決するために,Augmented Reality(AR)技術を用いてセンサ情報を可視化し,センサ情報フィルタ機構と容易に理解可能なインターフェースを備えた"uMegane"システムを開発した.
著者
実藤 亨 井上 真杉 大西 真晶 森野 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.29-34, 2009-01-15
被引用文献数
6

ユビキタスセンサーネットワーク技術を利用したビジネス展開を考えた場合、現状漠然とした疑問点が存在する。まず、マーケットニーズそのものは大きく見えるが、実際にビジネスとして採算が取れるまでにどのようなマイルストーンが存在するのか?また、あと何年で採算性の見合うマーケットに成長できるのか?さらに、従来ネットワークビジネスと本質的に何が異なるのか?何が斬新なのか?そして誰がユビキタスセンサーネットのビジネスプレイヤーになり、誰がユーザとして利用するか?上記のような漠然とした疑問が存在する中でユビキタスセンサーネットワーク研究は進められてきており、現状その試験運用も含めた研究の中で何らかの解決が導き出されてきた。本講演においては、現在研究されているユビキタスセンサーネットワークに想定されるビジネス展開に向けた課題を整理して解決案を検討していく。
著者
森川 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.43, pp.31-36, 2008-05-15
被引用文献数
2

ユビキタスネットワーク環境の実現に向けては,さまざまな実験的/前衛的なアプリケーションを実装評価しつつ,技術課題を抽出し,汎用性のある基盤技術の開発を進めていかなければならない.このような観点から,筆者らは,今までにSTONEルーム,秋葉原ユビキタス実証実験スペース,駒場リサーチキャンパス研究室などのスマートスペースを構築してきた.センサやアクチュエータを埋め込んだスマート空間を自由にかつ容易に構築することのできる空間である.本講演では,これらのスマートスペースの運用経験に基づき,ユビキタスネットワーク技術と空間構築との融合のこれからの展開シナリオやロードマップを示す.
著者
沼尾 啓 田中 尚貴 岡崎 哲夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.138, pp.27-32, 2008-07-10

介護者の負担を軽減することを狙いとした携帯電話を用いた介護支援システムについて報告する。本システムは、携帯電話で寝たきりの被介護者の状態を遠隔で確認するとともに、遠隔で電動ベッドを制御して被介護者の姿勢を変える、室温、照明、カーテンの開閉などの制御を実現する。遠隔操作の動作確認を行うために模型の電動ベッドを作成するとともに、これを用いて映像に関する基礎的評価実験を行った。その結果、現状の携帯電話の通信速度・品質でも被介護者の状態を映像で確認することが可能であること、寝起きと寝返りの動作を遠隔から確認・制御するには異なる2つのカメラアングルが必要であることを明らかにした。
著者
成尾 太希 Sertthin Chinnapat 春山 真一郎 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.131, pp.157-162, 2009-07-09
被引用文献数
1

高齢化社会に向けて,自律支援用ロボットや自動走行する屋内用小型車が発達し,その適切な行動のために屋内における位置測定システムが必要とされている.従来の屋内測位システムとして,慣性センサを用いてGPSを補完する慣性航法や,無線LAN,RFIDを利用したローカル測位等があるが,精度,応答速度,設置性等の問題がある.そこで,従来の測位システムの代替技術として可視光通信による屋内測位システムが検討されている.可視光通信を用いた測位システムは,地下街やビルの中,地下鉄のホームなどのGPSの電波が届かない場所,更には人体や精密機器に影響を及ぼす可能性があるとして無線技術の使用を禁じられている病院などの区域でも利用できる等の利点がある.よって,本論文では、可視光通信を用いて、複数のLED光源の光電力差を加速度センサ等の慣性センサを加えず,受信機単体で位置を測定するシステムとアウテージ確率を低くするUniform Resizing方式について提案し,計算機シミュレーションによりその特性評価と有効性を示す.
著者
中澤 仁 由良 淳一 岩本 健嗣 横山 浩之 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.149-154, 2009-01-15

無線センサノードを,ユビキタスサービスにおける様々な用途に広く利用するためには,多くの無線センサノードと協調的に動作しながら情報を交換する機能を,人々がいつも持ち歩いている携帯デバイスにおいて動作させることが重要である.本稿では,携帯電話上でユビキタスセンサネットワークアプリケーションを動作可能とするための技術として開発した,(1)センサ情報トランシーバ,(2)センサ情報収集ソフトウエア,および(3)Zigbee環境情報センサについて報告する.利用者は,センサ情報レシーバを携帯電話に装着し,所望のアプリケーションをダウンロード,インストールするだけで,周囲の無線センサノードを利用したユビキタスサービスを享受できる.従って本技術は,今後のセンサネットワークならびにユビキタスサービスの普及に資するものである.
著者
高 博昭 上原 秀幸 大平 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.378, pp.153-158, 2011-01-13

センサネットワークでは,センサノードの消費電力削減が重要な研究課題のひとつである.省電力化を実現するひとつのアプローチとして,クラスタリングや送信データサイズを削減するデータ集約が挙げられる.しかし,既存研究では具体的な集約のアルゴリズムについては未考慮,計算能力に制限のあるセンサノードでは実現が困難,完全集約を想定しているなどの問題点が挙げられる.本稿では様々な実環境のデータに対し情報理論的解析を施し,センサノードの増加に伴うエントロピー増加率とノード数の関係を示す集約モデルの導出を行う.これにより,集約として情報源符号化を想定したときの集約効果についての定式化を行う.次に集約モデルに基づくクラスタリングを想定した間欠送信手法を提案する.これは各クラスタ内の集約モデルとノード数の関係から,しきい値に基づきクラスタメンバのデータ送信を確率的に行うことで送信回数を削減し,省電力化を図る手法である.間欠送信手法を既存クラスタリング手法であるLEACHやCLARAに適用した場合についてシミュレーションを行った結果,間欠送信なしの場合と比較してLEACHの場合で最大59%,CLARAの場合で最大29%の送信回数削減を実現した.
著者
西尾 信彦 藤井 陽光 安積 卓也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.31, pp.79-84, 2012-05-10

ユーザの細粒度での屋内行動を認識するために,複数のセンサーを用い普段滞在する居場所を自動的に学習し標本化する機構と,それを用い現在の状況を標本から抽出する機構を実装し評価した.その結果,新規の標本を生成すべきか,既存の標本をアップデートすべきかの閾値を獲得する必要があることがわかり,そのための検証実験を実施し,比較的短期間のセンシングでも自動的に標本をアップデートして,ほぼ0.1%未満の誤認識率に押えられる見込みが得られた.
著者
三浦 龍 井上 真杉 浜口 清 大和田 泰伯 滝沢 賢一 小野 文枝 鈴木 幹雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.406, pp.51-56, 2013-01-17

災害に強い情報通信ネットワークの研究開発促進に寄与するため,分散メッシュ型アーキテクチャをベースとした自営系ワイヤレスネットワークテストベッドを東北大学キャンパス内に構築している.このネットワークは,各ノードが互いに同期して利用者情報や経路情報を保持するデータベース機能を備えた5.6GHz帯無線LANによるメッシュネットワーク,およびそれに付随した利用者端末収容のための2.4GHz帯無線LANアクセスポイントを中心に構成され,基幹網やインターネットへの接続を失われてもローカルに災害時用を中心とした通信サービスを維持する機能とそのアプリケーション群を有する.また,距離の離れたノード間や道路や回線の被災により孤立した地域との通信を確保するための地域WiMAX回線や車載ITS回線,さらに小型無人航空機や衛星回線による中継経路も提供する.利用者端末としては市販のICカード読み取り機能付き無線LAN対応タブレット端末の他,920MHz帯アクティブ無線タグを活用したGPS受信機内蔵小型端末,屋外に設置可能な小型サイネージ端末等を用意している.各ノードへ電力供給が可能なソーラー蓄電池も提供しており,停電時における運用性などの評価も可能である.
著者
山口 正泰 山中 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.47, pp.61-66, 2009-05-15
参考文献数
5

本稿では,複数地点に設置したセンサ(雷検知器)群をネットワークで結んで雷を観測する簡易型多地点雷観測システムの構成法とプロトタイプによる実験結果について報告する.汎用パーソナルコンピュータをベースとした簡易な構成を採ることで,従来のシステムに比べて経済性の高いシステムを構築できる可能性がある.試作した雷検知器を3つの観測地点に設置して,実際の雷が発する空電パルスの観測が可能であることを確認するとともに改良のための課題について考察した.
著者
浦島 智 鳥山 朋二 中村 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.31, pp.93-98, 2012-05-10

我々は,在宅患者が日常生活で利用する車椅子,ベッド,トイレ手すりに荷重センサなどを複数設置し,それらを用いてプライバシ侵害感の少ない見守りシステムを実現しようとしている.しかし,見守り実現のためには,取得した複数のセンサ情報を集約し,患者の行動と結びつける必要がある.本稿では,構築したセンサシステムと予備実験結果について述べる.
著者
岡村 俊亮 椋本 介士 和田 忠浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.242, pp.119-124, 2012-10-10

船舶衝突警報システムは,船舶が,岸壁或いは他の船舶に異常接近した際に警報を発し,操舵者に衝突回避を促すシステムである.本稿では,WSN(Wireless Sensor Network)端末のRSSI(Received Signal Strength Indicator)測定機能を利用した小型船向けの安価な衝突警報システムを提案する.また,動的に変化する対象物との距離を,RSSI系列から漸近的に推定するためのアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムを用いた衝突警報システムの性能は,水上実験結果から得られた電波伝搬モデルに基づくシミュレーションにより評価される.
著者
金澤 貴俊 間 博人 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.123-128, 2009-01-15

近年,無線センサネットワークに関する研究が盛んである.この中で,無線センサネットワークを用いたアプリケーション構築におけるセンサノードの更新,及びメンテナンスに要するコストの高さが大きな問題となっている.このような課題に対する解決として,ノードのアプリケーションを動的に変更可能なセンサノードの動的更新機構が注目されている.一方,無線センサネットワークにおいて,ルーティングプロトコルはセンサネットワークのアプリケーションの多様な要求と密接に関係する.しかし,既存のセンサノードの動的更新機構は複数のアプリケーションをネットワーク上で動作させることによるネットワークの拡張性を目的としていたため,無線センサネットワークのアプリケーション以外の要素を変更することは想定されていない.本論文では,センサノードの動的更新機構上でのアプリケーションの変更に応じて最適なルーティングプロトコルを提供する機構,AFRo(An Adaptive Framework for WSN Routing)を提供する.AFRoを用いることにより,センサノードのアプリケーションの更新に際して最適なルーティングプロトコルが選択され,アプリケーション性能の最適化,またネットワーク資源の効率的な利用が達成される.
著者
木村 竜 新巻 洋一 五百蔵 重典 田中 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.252, pp.17-22, 2008-10-15

本論文では,GPS機能を内蔵する携帯電話を用いて得られる位置情報とモバイルネットワーク,インターネットそして家電ネットワークを統合した知的環境実現のためのアーキテクチャを提案し,その具体的一例として,エアコン制御へ適用したシステム構成とその結果を示す.まず,携帯電話サービスの加入事業者に依存しない位置情報共有・表示システムとして,データベースマネージメントシステムとGoogleMapsを用いて地図上にGPS携帯電話所有者の移動履歴を図示するとともに,その位置精度を評価,確認した.そして,その位置情報と携帯電話所有者の行動パターンを考慮して,所有者の居室のエアコンを自動的に制御するシステムを構築し,その有用性を実証した結果を述べる.
著者
松井 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.254, pp.21-29, 2010-10-21

アドホックネットワーク技術の研究は1970年代に米国国防関係で開始された.1997年にはIETF MANET WGで標準化活動が開始され,現在,標準化の一歩手前まできている.また,メッシュネットワークの標準化もIEEE802.11sで行われており,これについても,標準化が見えてきている.一方,アドホック/メッシュネットワークの実用化に向けての実証実験も行われている.主な,適用先は,イベント監視システム,災害対応システム,農地監視システムなどである.更に,実システムへの適用も始まっている.アドホックネットワークの実システム適用に向けた課題として,通信の信頼性向上や,マルチホップ時のスループット低下防止等が上げられるが,これらについても,無線品質を考慮したルーティング方式や,複数チャネル使用等の技術開発が進んでおり,解決のめどがたってきている.最近,アドホックネットワークの新たな適用先として,スマートメータや車車間通信等が注目されている.スマートメータについては,限られたリソースを前提に,500-1,000程度のメータからなる大規模アドホックネットワークを構築する必要がある.これについては,このような環境を想定した新たな標準を作るため,IETF ROLL WGが設立され,RPLというルーティング方式が議論されている.また,車車間通信については,エリアに向けたマルチホップ通信を行うGeoCastルーティングが必要であり,是についても,いくつかの提案がなされている.スマートメータや車車間通信では,500-1,000台規模のアドホックネットワークが構築する必要があり,隠れ端末問題が今まで以上に顕在化してくると考えられる.これについては,TDMA方式の導入が検討されているが,実用化に向けては,まだ,課題が多いと考えられる.