著者
大賀 郁夫
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-20, 2011-03-04

近世において、地域社会で起きる民事事件の多くは、当事者間や地域内部の調停で内済されていた。刑事事件でも内済は存在し、犯罪探知内済と吟味内済の二種の態様があった。刑事事件が起きた場合、実際に犯人を捕縛し事情聴取を行うのは在地役人であった。藩から検使が出役する場合、在地役人らは事前にどの程度まで事件への関与が可能であったのだろうか。小稿では、延岡藩領宮崎郡を対象に、文久二年上別府村縊死人事件と、安政三年盗人殺害事件、それに天保九年大塚村弁太親伊平次殺害事件の三件をとりあげ、検討した。その結果、事件発覚後の最初の調査は盗賊方や目明らによってなされたこと、彼らは地域に細やかなネットワークを築いておりそれが犯人捕縛に寄与したこと、自力制裁権の行使はある程度黙認されたことなどが明らかになった。宮崎郡は藩領や幕領が入り組んでおり、旅人や商人などが数多く入り込む地域であった。そのため事件解決では藩領を越えたネットワークが構築され機能していたのである。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 近世における事件処理と地域秩序 - 日向国延岡藩飛地宮崎郡を対象に-(大賀 郁夫),2011 http://t.co/TVHcmYCjIm

収集済み URL リスト