著者
今田 正俊
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.88-96, 2011-02-05

熱ゆらぎによって生じるお馴染みの相転移と対照的に,量子ゆらぎが生む量子相転移には特有の機構があり,臨界現象に反映する.量子相転移には熱ゆらぎによる相転移と共通な機構-自発的な対称性の破れ-に起因するものもあるが,その場合でも量子力学固有のゆらぎを伴い新たな様相も生じる.一方,量子相転移にはそれだけでなく,トポロジーの変化に起因するものがあり,固有な性格を持つ.さらにこの両者が結びつく機構が最近見出された.一次相転移や相分離,多相共存相からの浸み出し効果も特異な量子臨界を生む.新奇な量子臨界構造の理解は,磁性,超伝導,強誘電,金属-絶縁体,さらには未知の量子相などの近年の活発な量子相・量子相転移研究とその機能探索の基礎となる.

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これちゃんと理解しておかんとな。 今田 正俊 「量子相転移と量子臨界の科学」 https://t.co/0LqZ0wmkDF

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