著者
今井 仁
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.101-112, 2011-03-01

本研究の目的は,普化宗尺八曲の音律を物理的尺度で表現することにある。そのために,まず,著名な奏者の演奏録音から基本周波数を抽出し,旋律をセント表示のグラフにした。これにより五線譜では表せなかった,微細な音程変化と音価を知ることができた。次いで,旋律の中に核音と中間音の存在を確認し,一曲に占める音価の値の占有率から主音を決めた。主音を決めたことにより,普化宗尺八曲の音階表示が可能になった。普化宗尺八曲「調子」を中心に解析したところ,律音階と都節音階は一元論的な関係にあることが分かった。また,各奏者には特有の音律があること,曲中においても核音も中間音も,奏者固有の音程変化を示すことが分かった。

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