著者
加藤 恒雄
出版者
近畿作物・育種研究会
雑誌
作物研究 (ISSN:1882885X)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.33-38, 2010

イネ大粒品種'BG1'の粒長を制御する5個の粒長QTLsを対象とし,量的形質の一モデルとしての粒長に対する個々のQTLの主効果(相加効果)および2QTL間の相互作用(エピスタシス効果),さらに大粒品種'房吉'由来長粒型主働遺伝子<i>Lkf</i>の主効果と上記QTLsとの相互作用を解析した.そのため,同一の遺伝的背景(品種'銀坊主')をもつ合計21種類の準同質遺伝子系統および銀坊主を用いて,2007年と2008年(<i>Lkf</i>に関するNILsは2007年のみ)に圃場栽培して得られた粒長のデータをもとに上記の主効果と相互作用を推定した.その結果,主効果は<i>Lkf</i>が最も大きかったが,QTLs間でも有意な変異がみられ,<i>Lkf</i>に匹敵する主効果を示すQTLも存在した.さらに,主効果の程度に関するQTLs間の順序は年次が異なってもほぼ変わらず,主効果の発現程度は安定しているといえた.一方.2QTL間相互作用はほとんどの場合負の値となり,組み合わせ間で大きく異なった.さらに,相互作用の発現程度は年次間で変動していた.このように,QTL間相互作用は量的形質の発現に重要な役割を果たし,特に形質発現の不安定性の一因になっていると推察された.

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