著者
石森 紀子 川真田 明子 堀内 喜代美 飯原 雅季 岡本 高宏
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.272-275, 2011-08-25

原発性副甲状腺機能亢進症に対しては副甲状腺ホルモン(PTH)を過剰に分泌する病変を摘除することが唯一の治療であり、成功のためには術前の局在診断が重要であるが、異所性病変ではこれが困難な場合がある。通常の画像診断に加えて超音波ガイド下穿刺吸引液のintact PTH測定が術前の局在診断に有用であった原発性副甲状腺機能亢進症の1例を経験したので報告する。症例は58歳、女性。高血圧で入院した際に高カルシウム血症(血清Ca 11.6 mg/dl)が見つかり、血清intact PTH値 105 pg/mlと高値を示して原発性副甲状腺機能亢進症と診断された。局在診断を目的とした頸部超音波検査および頸部造影CT検査では典型的な副甲状腺腫大の所見はなく甲状腺左葉内に内部が均一で血流を伴う腫瘤像を認め、Tl-Tc副甲状腺シンチグラフィでは同部位に集積を認めた。画像所見より甲状腺内の副甲状腺腺腫を疑い、局在診断を確定するため、同腫瘤を超音波ガイド下に穿刺し、吸引液のintact PTHを測定したところ8651 pg/mlと極めて高値を示し甲状腺内副甲状腺腺腫と確定診断した。甲状腺左葉切除術を施行し、術前血清Caは正常化し経過良好である。病理診断は副甲状腺腺腫であった。本症例では、超音波ガイド下穿刺吸引液中のintact PTH測定により甲状腺内副甲状腺腺腫と術前に確定診断し手術にて治癒した。本来副甲状腺病変への穿刺は播種の原因となる危険があり避けるべきとされているが、術前に局在診断を確定し確実な外科治療に臨むためには、適応を十分検討したうえでの穿刺吸引液中のintact PTH測定は有用であると考えられる。

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