著者
鈴木 晃志郎
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-39, 2010-03-30

宮崎県日南市飫肥(おび)地区は、古くから飫肥杉の産地として知られる林業の町であり、1587年に、秀吉の九州征伐で案内役を務めた功で飫肥の地を与えられた伊東祐兵が、同地に飫肥藩を置いて以降は、幕末まで伊東氏の城下町として栄えた。しかし、高度成長期の1955(昭和30)年をピークに人口は長期的な減少に転じ、町内の空洞化が進んでいる。一方でその歴史ある町並みの美しさから、近年は日南市の観光地区としての役割を担っている。1992年には映画『男はつらいよ』の、2004年にはNHK の朝の連続テレビ小説『わかば』の舞台となり、メディア誘発型観光現象が発生した。しかし、その効果は4年以内に終息し、地域への経済効果も限られたものにとどまった。現地ではむしろ、地域住民たちによってそれ以前から続けられてきた、地道なまちおこしや地域活性化の活動のほうが効果を挙げつつある。そこで本稿は、現地調査を通じて、ポスト・メディア誘発型観光の状況下におかれたこの町が、今いかなる試みを進めつつあるのかを検討し、内発的なまちづくりを通じて地域の諸問題を克服するうえでの示唆を得ることを目的とする。

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