著者
齋藤 弘樹 川原 晋
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-43, 2012-03

地域振興とスポーツ普及を一体として考える「ホームタウンスポーツ」が地域に果たす役割を考察するため、少年サッカーの普及を母体として設立されたプロクラブを有するという特徴を持つ東京都町田市のサッカーを事例として、次のことを明らかにした。まず、町田市の少年サッカーは、地域社会教育の一環として小学校教員や保護者等の地域コミュニティが支えて普及したこと、その指導者やOBを母体としてプロクラブFC町田ゼルビアが設立されたことで関係者に基本的理念が共有されている強み生かし、少年サッカーと共に、①子どもの教育の場の役割、②子どもの夢や目標を創出する役割、③地域の賑わいを創出する役割を果たしてきたことである。また、今後はそれらに加え、④地域コミュニティの再構築や郷土意識の醸成の役割への期待を受けていることも明らかになった。最後に、これまでに蓄積された潜在的人材や運営経験等を明らかにした上で、町田市ならではの「ホームタウンスポーツ」形成の方策を提言した。
著者
太田 慧
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.7, pp.37-44, 2014-03-20

近年,隅田川や東京臨海部をはじめとしたウォーターフロントへの関心が高まっている。そこで本研究では,東京ウォーターフロントにおける水上バス航路の変遷と運航船舶の多様化についての考察を試みた。東京における水上バスの歴史は明治時代に始まったが,高度経済成長期の水質悪化によって低迷した。その後,水質改善と1980年代のウォーターフロントブームが契機となり,水上バス事業者の新規参入が促された。1990年代の航路では,荒川や旧江戸川を航路とした広域的な航路が存在したが,2000年代になると隅田川およびお台場周辺の東京臨海部を中心とした航路に変化したことが明らかになった。また,近年は中小河川を周遊する小型船やデザインに特徴のある新型船の導入により運航船舶が多様化し,観光アトラクションとしての機能を高めている。
著者
下里 直生 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-39, 2016-01-31

本研究は,白山手取川ジオパークの活動を対象にして,時空間的ジオストーリーが地域融合にいかに貢献できるのかを検討した。ジオパークが発展するためには,地形・地質遺産などに基づくジオポイントやジオサイトを複数組み合わせることによりジオストーリーが地域の内発的な活動に基づいて構築されなければならない。その場合,地質学的なストーリーと地理学的なストーリーを組み合わせた時空間的ジオストーリーの構築が重要になる。この時空間的ジオストーリーを構築することにより,ジオポイントやジオサイトの組み合わせだけでなく,それらのまとまりからなるジオエリアの組み合わせも可能となり,地域のつながりや一体性が強調できるようになる。つまり,時空間的ジオストーリーは地域融合に貢献する可能性が高い。
著者
清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究
巻号頁・発行日
no.7, pp.29-35, 2014-03-20

本研究は,東京,高松,ウィーンを対象に,自動車および自転車の外部費用を比較している。外部費用として,走行時空間機会費用,駐車時空間機会費用,道路建設費用,道理維持管理費用,駐車場建設・維持管理費用,交通事故費用,大気汚染費用,地球温暖化費用,放置自転車対策費用を考慮した。費用の単位については1 人当たり・1 日当たりとした。分析の結果,どの都市においても自動車の外部費用は自転車のそれの5倍程度であること,東京では空間機会費用,高松では交通事故費用の割合が高いこと,自転車の外部費用は利用者の行動によって大きく削減できる余地があることが明らかとなった。
著者
土居 利光
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.39-48, 2017-03-15

動物園及び水族館の評価に関して取り上げられることが多い利用者数は,利用者の関心を示す一つの指標とされることから,10年間にわたる利用者数の変動やその理由などを調査し,利用者数の評価について考察した。年間の総利用者数は,園館によって大きく異なるが,基本的には立地する場所の人の集積度合いで決まってくる。一方,年度によって大きな違いがある場合においても,各年度の総利用者数に占める月別利用者数の割合は,連休などの時期を反映したパターンを示した。これは,動物園などを利用することが「その場所に行くことが望ましい」という規範の下での選択の結果であることを示していると考えられるため,評価において利用者数は,利用者の関心度合いを示す補助的な指標としてとらえるべきである。
著者
下田 雅己 清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.157-165, 2013-03

韓国の首都ソウルでは2004 年から公共交通の共通運賃制度が導入され,2007 年にはソウル近郊の都市圏である京畿エリア全体に拡大された。これは,鉄道・地下鉄とバスについて運営事業者はそれぞれの企業体のままで,距離制による共通運賃を実現するものであった。交通機関ごとの乗降ではなく,起点から終点までの移動をワントリップととらえるもので,利用者にとっての利便性は極めて高いものである。従来,初乗り運賃をそれぞれに徴収してきた事業者にとっては減収になるが,その部分は自治体の財政によって補填を行うものである。ソウル都市圏において,この制度を導入した背景には,バス及び自動車の交通機関別分担率が高い構造の中で,民間バス会社間の過当競争やサービスの悪化,渋滞や大気汚染,交通事故などの問題を解決するという切実な必要性があったからで,バスの改革に鉄道網も組み込んだという流れであった。これを支えるハード・ソフト両面の技術的側面も機能した。東京圏においても,仮にこの仕組みを導入すれば利用者の利便は向上するであろう。しかし,東京圏では鉄道の交通機関別分担率が高く,しかも鉄道事業者が数多く存在している現状があり,新たな財政支出の可能性を含めて,簡単には同様な仕組みを導入することはできない。しかし,インバウンド観光の推進をはじめ,少子・高齢化社会への対応,環境問題などの観点から,公共交通の役割を高めるために,ソウル都市圏での実践と経験から学ぶべきことがあるのではないか。
著者
下田 雅己 清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.157-165, 2013-03-30

韓国の首都ソウルでは2004 年から公共交通の共通運賃制度が導入され,2007 年にはソウル近郊の都市圏である京畿エリア全体に拡大された。これは,鉄道・地下鉄とバスについて運営事業者はそれぞれの企業体のままで,距離制による共通運賃を実現するものであった。交通機関ごとの乗降ではなく,起点から終点までの移動をワントリップととらえるもので,利用者にとっての利便性は極めて高いものである。従来,初乗り運賃をそれぞれに徴収してきた事業者にとっては減収になるが,その部分は自治体の財政によって補填を行うものである。ソウル都市圏において,この制度を導入した背景には,バス及び自動車の交通機関別分担率が高い構造の中で,民間バス会社間の過当競争やサービスの悪化,渋滞や大気汚染,交通事故などの問題を解決するという切実な必要性があったからで,バスの改革に鉄道網も組み込んだという流れであった。これを支えるハード・ソフト両面の技術的側面も機能した。東京圏においても,仮にこの仕組みを導入すれば利用者の利便は向上するであろう。しかし,東京圏では鉄道の交通機関別分担率が高く,しかも鉄道事業者が数多く存在している現状があり,新たな財政支出の可能性を含めて,簡単には同様な仕組みを導入することはできない。しかし,インバウンド観光の推進をはじめ,少子・高齢化社会への対応,環境問題などの観点から,公共交通の役割を高めるために,ソウル都市圏での実践と経験から学ぶべきことがあるのではないか。
著者
河東 宗平 雨宮 尚弘 梶山 桃子 川嶋 裕子 塩川 さとこ 有馬 貴之 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.189-194, 2013-03

本報告は近年外国人観光客が増加する箱根の強羅地区を事例として,外国人観光客への取り組み状況の現状を把捉することを目的としたものである。調査は案内板調査,アンケート調査,動線調査,聞き取り調査の4つを行った。強羅における案内板は,そのほとんどが日本人観光客を意識したものであり,英語併記等の案内板は全くみられなかった。強羅における外国人観光客の増加自体は近年の現象であり,その割合も日本人観光客の割合には遠く及ばない。そのため,現状では外国人観光客への取り組みは,箱根の他地域と比べも大きく進展している状況ではなかった。しかしながら,強羅での就業者は外国人観光客を拒んでいる訳ではなく,むしろ迎え入れる意識を高く持っていた。2,3 年前から外国人を意識した接客を始めた施設が多い強羅ではあるが,今後,新たな取り組みがみられる可能性が高いと判断された。
著者
鈴木 晃志郎 鈴木 玉緒 鈴木 広
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.51-69, 2008-03-30

福山市鞆町は、古い城下町特有の道路狭小に由来する交通問題を解消すべく自治体が提示した港湾架橋道路案をめぐり、架橋推進派と架橋反対派との間で軋礫が続く場所である。本研究は当地における住民運動に焦点をあて、各種資料の内容分析および当事者への面接調査を通じて各々の住民運動の歴史的経過を詳細に検討した。その結果、鞆の住民運動のうち反対派のそれは、2000年ごろを境にその性格が大きく変化していることが明らかになった。2000年よりも以前、推進派と反対派の活動家は、港湾架橋に関しては相対する一方、まちおこし運動に起源をもつ古民家再生事業では協力する場面も見受けられた。しかし2000年以降、反対派の新しいリーダーの登場とともに、古民家再生事業においても架橋反対運動においても外部の力を取り込む方法が目立つようになり、これに伴って反対派の活動は地元で一種の孤立状況に陥りつつあることも明らかになった。推進派の行動様式は、閉鎖的な伝統的地域社会に由来するウチ/ソト意識や家父長制的性格をもっており、また彼らは地元の多数派であることもあって、世帯単位の署名集めや陳情などの伝統的な活動に終始した。他方、数の上で少数の反対派は、鞆の外部から有識者を呼び込み、マスコミを活用して町外へ援助を訴えることにより、その立場を補強しようとした。鞆の土木・建築景観を関心の対象とする工学系の有識者と、おのが立場を合理化する必要に迫られた反対派の利害が一致することにより、外部有識者は新たなアクターとして反対運動へと参入していくことになった。こうして町外のアクターと町内住民の大多数が架橋問題をめぐって対立する、やや奇妙な構図が成立したのである。
著者
鈴木 晃志郎 佐藤 信彌
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻 観光科学専修
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.3, pp.95-116, 2010-03-30

本研究は、科学社会学の概念モデルであるアクターネットワーク理論を地理学に応用し、鉄道の延伸に伴って生まれたある街の社会史を状況論的に読み解く試みである。かつて太平洋側と日本海側から運ばれる塩の交易ルートにちなんで地名が定着した長野県塩尻市は、明治維新後、養蚕・生糸の生産・流通拠点の一角を担い、文明開化の黎明期を支えた。塩尻の市街化を促したのは、国家的事業として進められた鉄道建設であり、旧中山道に沿う形で延伸してきた中央本線と、北陸方面への大動脈である信越本線であった。鉄道が陸上交通の要として隆盛を極めた時代、二者の結節点に位置する塩尻もまた栄華をきわめ、結果的にそれは、半ば人工的に駅へと依存した中心市街地の形成に繋がった。しかし、そのことが却って、時代の変化に伴う幹線道路の拡張や、大都市近郊のベッドタウンとしての都市改変のいずれをも選択せぬまま、新駅移転とそれに伴う旧中心商店街地区の衰退傾向を座して眺める結果をもたらした。合併によって後年誕生した地元自治体は、旧中心商店街地区の縁辺部に事業所を構え、実質的に中心商店街地区に依存した自治体運営方針から抜けきれないまま、空洞化の進む旧駅前の中心商店街地区へのハコモノ的投資を続けて今日に至った。ここに、国策としての駅舎建設と、鉄道に二重に依存した都市構造が形作られたのである。輸送手段としての鉄道は、もはや地域コミュニティの核としての求心力を失いつつある。今後、自治体を含めた地域コミュニティには、鉄道を核として作り上げた既存の人的ネットワークの維持に留まらず、新規の居住者を増加させるための積極的な施策を提示していくことで、地域コミュニティの再定義をはかる工夫が求められる。
著者
鈴木 晃志郎
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-39, 2010-03-30

宮崎県日南市飫肥(おび)地区は、古くから飫肥杉の産地として知られる林業の町であり、1587年に、秀吉の九州征伐で案内役を務めた功で飫肥の地を与えられた伊東祐兵が、同地に飫肥藩を置いて以降は、幕末まで伊東氏の城下町として栄えた。しかし、高度成長期の1955(昭和30)年をピークに人口は長期的な減少に転じ、町内の空洞化が進んでいる。一方でその歴史ある町並みの美しさから、近年は日南市の観光地区としての役割を担っている。1992年には映画『男はつらいよ』の、2004年にはNHK の朝の連続テレビ小説『わかば』の舞台となり、メディア誘発型観光現象が発生した。しかし、その効果は4年以内に終息し、地域への経済効果も限られたものにとどまった。現地ではむしろ、地域住民たちによってそれ以前から続けられてきた、地道なまちおこしや地域活性化の活動のほうが効果を挙げつつある。そこで本稿は、現地調査を通じて、ポスト・メディア誘発型観光の状況下におかれたこの町が、今いかなる試みを進めつつあるのかを検討し、内発的なまちづくりを通じて地域の諸問題を克服するうえでの示唆を得ることを目的とする。
著者
清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.5, pp.45-57, 2012-03

本稿は,イタリアのインフラ整備と管理の計画と制度に着目し,これらの現状と課題を解説し,日本の交通政策に対して示唆を与えることを目的とする。イタリアの地理的条件や社会経済・政治情勢,あるいは交通流動の概況を整理した上で,①イタリアの交通インフラ整備計画の内容とその実現プロセス,②イタリアの道路管理制度,③イタリアの鉄道事業経営と許認可の制度,について,日本との差異や共通点に触れながら解説している。イタリアは20世紀末から地方分権と民間開放を通じて国が管理していた交通インフラサービスを地方自治体や民間会社に移譲してきた点が特徴であり,その成果や問題点について,インタビュー調査,各種文献調査,実際のインフラ利用体験をベースに論じている。
著者
洪 明真 太田 慧 杉本 興運 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.11, pp.35-43, 2018-03-15

本研究は東京都台東区上野地域おける行楽行動の要素を歴史地理学的な観点から検討したものである。江戸期にわたって刊行された名所案内記の挿絵と錦絵を用い,これらの視覚史料に描かれた江戸期の上野地域の描写対象を分析した。江戸上野地域は,新しい都市となった江戸を象徴する建造物を建設するため,地形的・文化的条件が合致する場所であった。そして,為政者による江戸の都市施設と遊覧場所として計画された上野地域の「東叡山」とその周辺には,当時の人々の行楽行動が現われていた。江戸上野地域の視覚史料から描写対象としての「人的要素(女性)」と「物的要素(衣食住関連の商業活動)」に注目したところ,江戸上野地域の行楽行動の要因は「東叡山」と「桜」は江戸上野地域における行楽行動の重要な要素となっていた。
著者
櫻澤 明樹 保坂 哲朗 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.8, pp.125-131, 2015-03

北海道の帯広市では市によって公営競技であるばんえい競馬が運営されている。ばんえい競馬は単なる公営競技ではなく、北海道の文化遺産に登録され、帯広市の主要な観光資源の一つである。しかし、近年は馬券(勝馬投票券)売り上げの減少により、存続が危ぶまれている。本研究ではばんえい競馬に訪れる来場者に注目し、彼らの馬券購入を含む消費行動を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査結果から、時期によって異なるタイプの観光客が来場しており、勝馬投票券の購入金額も異なることが明らかになった。特に、夏季(8月)は性別や年齢などの属性によって使用額に有意な差が見られたが、冬季(12月)はばんえい競馬に対する愛着の度合によって使用額に有意な差が見られた。これらの結果を踏まえ、観光客のばんえい競馬への愛着度合いを考慮して、夏季、冬季で異なる取り組みを行うことが有効であると考えられた。
著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03-15

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
延東 洋輔
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-27, 2014-03

本研究では,日本の耐久消費財メーカーであるパナソニック,ソニー,トヨタ自動車が東京都内において運営する企業ショウルームを採り上げる。これらの施設は,産業遺産や実際に稼働する産業施設を対象とする産業観光の事例であり,それを運営する企業側の主体性を加味した評価が求められる観光資源でもある。本稿は,耐久消費財メーカー3社が運営する企業ショウルームについて,既存のマーケティング理論と照らし合わせて現状分析を行う。この結果を踏まえて,企業戦略によって決まる施設運営の方向性について考察し,観光資源としての可能性や,求められる観光産業との連携など,実学的な産業観光について試論する
著者
土居 利光
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.61-76, 2013-03-30

動物園及び水族館は,動物を収集し展示し公開することによって利用される施設であり,関係者の間ではレクリエーション,自然保護,教育,研究の四つ役割を持つとするのが定説となっている。本論では,野生動物との関わり,都市における資源,組織などの視点から動物園及び水族館を捉えるとともに,立地環境である都市の課題を解決するための手段に位置づけて,その意義及び役割の検討を行った。結果として,動物園及び水族館は,人工エネルギーを利用する現代的な存在であるとともに,その組織は人的システム,物的システム,交換システムから構成されており,現代の社会生活とそれを支える社会組織を成り立たせるための空間である都市において,自然への共感を呼び起こす場及び地域の核としての意義を持ち,その役割は教育や普及啓発を含めたメッセージの発信にあるとした。
著者
坂口 豪
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.147-156, 2013-03-30

東京大都市圏は宅地化などの開発が高度経済成長期に行なわれ,緑地が少なくなった。しかし斜面林地は開発が行いにくく緑地として残されていることが多い。世田谷区の西部を流れる野川の東側には国分寺崖線が続き,崖線上の一部には斜面林が残されている。このような樹林は都市的土地利用が広がる都市近郊域では貴重な自然環境である。そこで,本研究では国分寺崖線上に位置する世田谷区立成城三丁目緑地を調査地とした。本緑地は2001 年に世田谷区により設立された。現在,どのような緑地管理が行なわれているか市民ボランティアに聞き取りを行ない整理した。また現地調査は植生を基にしたエリア区分けごとに行ない,土壌硬度,土壌水分量,リター層の厚さの計測をした。また各エリアで土壌採取を行ない,土壌pH,全炭素量と全窒素量の値を測定しC/N 比を出した。成城三丁目緑地における管理活動については,現在,荒廃した雑木林とならぬように,市民ボランティアが下草刈りや倒木の処理を行っている。土壌性状については,土壌硬度の垂直分布は,地形条件により大きく異なる。斜面下部の表層部の硬度が低くなる傾向がみられた。土壌の化学性については,樹林地内ではほとんどの地点でpH5.5-6.0 であった。造成地ではアルカリ化が進んでいた。また管理により,土壌の性状が異なることが明らかになった。落ち葉掻きにより,C/N 比は下がり,pH は上がることが分かった。ただし,その影響は小さいことが分かった。
著者
倉田 陽平
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.5, pp.159-165, 2012-03
被引用文献数
2

筆者らは「訪日外国人に対する旅行サービスの高度化」を目指した研究プロジェクトに東京大学・JTBとともに取り組んでいる。本稿では,このプロジェクトの一環で開発された「旅行プラン作成支援システム」について報告する。このシステムでは,地図上に表示された旅行プランを見ながら,訪れたい/訪れたくない観光資源を指定したり,プラン全体の性格を指示したり,滞在時間や起終点を調整したりして,探索的かつ能率的に各自の好みにあった旅行プランを作成していくことができる。このシステムによってインターネットを介していつでもどこでも多様な言語によって旅行プランの相談ができるようになるため,日本を訪れる外国人旅行者にとって有用なツールとなることが期待できる。
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-8, 2011-03-30

本論文では,英国全土において法に基づき一律に運用されている屋外広告物コントロールの体系を把握した上で,当該行政施策としての時事的話題として,第一にグラスゴー市やダンディー市において実施されている違法屋外広告物を対象とした誘導的手法によるコントロールの取り組み実態を解明し,第二に2012年のロンドン五輪開催を控え,各地で設置が進められているパブリックビューイング用大型デジタルスクリーンが引き起こした諸問題とそのコントロールの取り組み状況を俯瞰した。こうした英国における屋外広告物コントロールには,ガイダンスや事例集等の作成によって事業者や市民への周知・教育が徹底している点,視覚および聴覚の側面を範疇に入れた都市空間・環境の質(=アメニティ)の概念が広範にわたる点等,英国における都市空間・環境のコントロールの本質を垣間見ることができる。